先週末の投開票で自民党の第29代総裁に選出された高市早苗氏は、就任会見で、「給付付き税額控除」の具体化に向けて党内で議論を始める意向を表明しました。

これは、所得の少ない人ほど負担が重くなる社会保険料の「逆進性」を緩和し、低・中所得者層の生活を直接的に支えることを目的とした税制改革です。この制度は、「減税」と「給付」を組み合わせることで、所得税を納めていない人にも支援が行き届くのが大きな特徴です。

この注目政策の仕組みと、実現に向けた課題をわかりやすく解説します。

1. 「給付付き税額控除って何?」自民党新総裁が掲げる減税と給付の生活支援策!

まずは、記者会見の質疑応答における「給付付き税額控除」の政策について、以下の通り発表されていました。

【給付付き税額控除】
給付付き税額控除は私の持論だ。社会保険料の逆進性を考えると最もメリットがあり、中所得、低所得の方々を応援する方法だ。総裁が何もかも自分の政策を押しつけることはしないが、議論の課題として政務調査会長にお願いしたい。
給付付き税額控除はすぐできるものではない。制度設計をして対象をどうするか決め、所得の捕捉も必要で、システムも作らなければならず、数年単位かかるものであり、しっかり政調で議論してほしい。

出所:自民党お知らせ「もう一度信頼される自民党に 高市新総裁が就任会見」より引用

「給付付き税額控除」とは、個人の所得に応じて所得税の納税額から一定額を差し引く(減税)制度であり、減税と給付で生活を支援するしくみです。さらに、減税額よりも所得税の納税額が少ない、所得の少ない人に対しては、その差額を給付金として支給します。

例えば、控除額を10万円と設定した場合、所得税の納税額が30万円の人は10万円が差し引かれて20万円を納税します。一方、所得税が8万円の人は納税額がゼロになり、さらに差額の2万円が給付されます。もともと所得税を納めていない人には、控除額全額の10万円が給付されるという仕組みです。これにより、所得の少ない人に対する支援を厚くすることができます。

立憲民主党「給付付き税額控除」も含む物価高対策

立憲民主党「給付付き税額控除」も含む物価高対策

出所:立憲民主党「【代表会見】「物価高から、あなたを守り抜く」参院選挙政策発表」

立憲民主党も7月の参院選公約でこの制度を訴えるなど、野党側も関心を示しています。