読書の秋、スポーツの秋と言われますが、今年の秋はご自身の老後資金について深く考えてみるのはいかがでしょうか。
いよいよ今年も残すところあと数ヶ月となり、年末に向けて何かと物入りになる時期でもあります。

物価高や増税の話題が続く今、将来の生活費に不安を抱いている方も多いかもしれません。政府は「異次元の少子化対策」を打ち出していますが、その財源確保の議論や将来の年金制度への不安は尽きません。

現代の高齢者世帯はどのような家計状況にあるのか、実態を把握しておくことは、自身の老後設計を考える上で不可欠です。

本記事では、各種公的調査データをもとに、現在の高齢者世帯の生活意識、平均的な支出額、そして貯蓄・年金受給額の実情を徹底的に解説します。

1. 高齢者の約半数が「生活が苦しい」と感じている

まずは、現代の高齢者がどのような生活意識を持っているのかを確認してみましょう。

厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯の生活意識は次のような結果となっています。

1.1 「高齢者世帯の生活意識」の調査結果を見る

  • 大変苦しい:25.2%
  • やや苦しい:30.6%
  • 普通:40.1%
  • ややゆとりがある:3.6%
  • 大変ゆとりがある:0.6%

「大変苦しい」と「やや苦しい」を合わせた割合は55.8%にのぼります。

高齢者世帯では、「普通」と答えた人よりも、生活が「苦しい」と感じている人の方が多い結果となりました。