肌寒い季節となり、年末を意識し始める2025年11月。 老後の生活や資金計画について改めて考える方も多いのではないでしょうか。
年金は老後の生活を支える大切な収入源ですが、近年は公的年金の給付水準に対する不安の声も聞かれます。 2025年度の年金額は3年連続で引き上げられ、前年度比プラス1.9%となりましたが、物価変動率や賃金変動率との関係で「実質的な目減り」も指摘されています。
本記事では、この最新の年金額改定の内容から、シニア世帯の平均的な受給額や家計の状況、さらに老後資金の準備に役立つ貯蓄の実態や年金の繰上げ・繰下げ受給のポイント、そして2025年6月に成立した年金制度改正の全体像まで、多角的に解説します。 ご自身の将来の年金生活を具体的にイメージし、資産形成を見直すきっかけとしてご活用ください。
1. 2025年度の年金額は+1.9%
2025年度の公的年金額は、3年連続引き上げられました。2025年度は前年度より1.9%の増額となっています。
1.1 2025年度の年金額の例
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分※1)
 - 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※2)
 
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(対前年度比+1300円)です。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
厚生年金は40年間「会社員として月額45万5000円(平均)を稼いだ夫」と「ずっと専業主婦もしくは自営業だった妻」の組み合わせをモデル世帯と想定。上記の年金額は、「夫の老齢厚生年金+夫婦2人分の老齢基礎年金」となります。

