米株式相場の下落を受けて、日本株も連れ安へ

2019年2月8日の日経平均株価の終値は、前日より418円11銭安の20,333円17銭となりました。1月4日の大発会以来、およそ1か月ぶりの下げ幅です。

前日に米株式相場が大きく下落したことから連れ安となりましたが、背景としては、米中貿易摩擦の長期化が懸念されることが挙げられます。米国国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は7日、貿易摩擦を巡る中国との見解にはかなり差があると示しました。

また、トランプ大統領も、習近平国家主席との米中首脳会談が、「交渉の期限である3月1日前に開催される可能性はない」と語りました。これを受けて、投資家の間には米中貿易摩擦が早期に解消する可能性が低くなったという見方が広がっています。

さらに、7日に欧州連合(EU)の欧州委員会が、ユーロ圏の2019年の実質経済成長率の見通しを前回予想から大幅に下方修正したことも嫌気されました。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。米国株式市場の動向は引き続き心配です。8日のダウ工業株30種平均は、前日比63ドル20セント安の2万5106ドル33セントで3日続落となりました。ダウ平均が3日続落するのは、今年初めてです。取引時間中には一時、286ドル安まで下げ幅を広げる場面もありました。要因は前述したように、米中貿易摩擦の長期化が予想されることです。

日本株を含め、世界の株式市場はここのところ、米株式市場の動きに追随するように上下してきました。週明けの日経平均についても、寄り付きから下げる可能性があり注意が必要です。前場で2万円を割るようであれば、短期的には目線は下になるでしょう。

欧州景気の減速懸念もあり、なかなか強く買いに回れる状況ではありません。急落することがなくても、当面は狭いレンジでもみ合う動きになりそうです。トランプ氏の発言など外的要因に振られる展開も続きそうです。しばらくは個別銘柄を物色しながらチャンスをうかがいたいところです。

25日移動平均線を割り込むがしばらくはもみ合いか

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。大発会の1月4日に下げた後は、5日移動平均線に沿うようにじりじりと値を上げてきました。1月21日にはローソク足の実体が25日移動平均線を回復した後、そのまま割り込むことなく、上昇しました。

ただし、その勢いは強くなく、ローソクの実体も長くありません。なぜなら、足元では上昇トレンドでも、中期的には10月2日の高値から12月3日の戻り高値をチャネルの上限とする下降トレンドラインの中にあるからです。売買の攻防が激しくなるところですが、先週は、この下降トレンドラインの上限からの戻り売りを狙う投資家の力が勝りました。

今週以降の展開はどうなるでしょうか。懸念されるのは、ローソク足の実体が25日移動平均線を割り込んでしまったことです。ただし、ずっと動きが小さかったことから、先週8日におよそ1か月ぶりの下げ幅になったといっても410円あまりです。心理的な節目となる20,000円や、直近の安値である12月26日の安値(18,948円)あたりまではまだ距離があります。

12月26日の安値を下抜ければもちろん目線は下になりますが、しばらくは20,000円と21,000円の間でもみ合うような展開も予想されます。本格的な出動は、2月5日の高値(20,981円)、心理的な節目となる21,000円あたりを上抜けてからでも遅くはないでしょう。さらに10月2日の高値と12月3日の戻り高値を結ぶ下降トレンドラインを抜けてしまえば確実です。

ひとまず週初は2月7日と8日の間の窓埋め(20,751円)が目標になります。逆にここからさらに調整が入るとすれば、下値めどは、節目となる20,000円のほか、2019年1月4日と1月7日の間の窓埋めとなる19,655円あたりが意識されます。

下原 一晃