最近では「ハラスメント」と名の付くものが増えてきました。言い過ぎという意見もある一方で、今まで見過ごされてきたり、個々人が耐えるしかなかった問題が議論の対象としてあがってきた点ではプラスと言えるでしょう。
その中の一つが「嫁ハラスメント」です。今回は嫁ハラで「世代の価値観の違いを実感した」というAさんのケースをご紹介します。
仕事、家事、育児と口を出され…
乳児~小学生までの3人の子がいるAさん。義両親は車で1時間のところに住んでおり、時々手伝いにきてくれ良好な関係だと思っていましたが、次第に違和感を感じるようになりました。
1人目までは完璧な育児と家事にこだわっていたAさんですが、2人、3人と子どもが生まれ、また仕事もしているため、少しずつ家事の手を抜くようになりました。実家の親には「頑張り過ぎだからもっと手を抜きなさい」と言われますが、義両親には「もう少し家事をやってほしい」と言われます。
田舎の本家の跡取りである義両親は、親戚が来ることも多いため、常に家はきれいに保って当たり前という考え。料理は得意ではないものの毎日自炊をしているAさんですが、料理の仕事をしている義母からは「粗末な食事をしているのでは」と言われたこともあるそうです。
他にも「子どもがかわいそうだから3歳まで預けないで」「それでも夫が金銭面で困っているなら妻が仕事をして助けるのが当たり前」「でも仕事もセーブして家のことをもう少しやってほしい」など矛盾したことを言われたり、「子どものオモチャが多い。それよりも家をきれいに保って」など、小さな子がいる中では無理なことを要求されます。
そんな中、あるとき酔った義父が急に怒鳴りだしたそう。「孫たちはかわいいが、嫁はかわいくない!」と怒鳴られ、Aさんは周囲に相談しました。
昭和の義父と現代の嫁、その世代間ギャップ
周囲と話し合った結果、「世代間ギャップが大きいことに気づいた」とAさんは言います。
義実家は、典型的な昭和の家庭。それまで「家族全員が義父の意見を聞いて当たり前」できました。そのため、たとえばAさんが子どものアレルギーの話をしても、「でも、昔は…」とあまり聞く耳を持たれなかったよう。他にも「母乳が一番だが、1歳過ぎたら断乳を」「朝食はご飯。嫁は朝早く起きて家族に味噌汁を飲ませる」などの持論が展開されていたようです。
一方でAさんは大学から東京に出て、そのまま就職。結婚後退職し、転勤族として各地を転々とした後、義実家の近くへ引っ越してきました。女子高育ちで男女平等という考えを持っており、また自分の考えもあるタイプ。何でも義父の言うことを聞くわけではなく、自分の意見や時にはお医者さんの意見も交え説明していたそうです。
Aさん夫婦も、義両親の望むような夫婦ではありませんでした。「男が引っ張り、女がついていくもの」と義父は言うものの、夫は中性的なタイプ。優しくて大人しく、優柔不断なところもあり、何でもAさんに決めてもらいたがります。一方のAさんは自分があり、責任感が強い性格。義父の思う男女像が逆になっていたのです。
今までも、嫁ハラなるものはあったでしょう。ただ近年になり、環境が一変しました。女性も上京したり、大学へ行って知識や教養を付けたり、仕事を持つ人が増えました。また、核家族や共働きと、社会も「多様な家族の形や男女の在り方」への過渡期にあります。そのため「姑よりも舅に悩む」という女性側の声も出てきています。