4. 年金受給額は働き方によって個人差があります
ここからは、厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、厚生年金と国民年金の平均年金月額を確認します。
4.1 【国民年金・厚生年金】平均はいくら?個人差・男女差にも着目
4.2 厚生年金の平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:14万6429円(国民年金部分を含む)
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
4.3 国民年金の平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額は、男性で約16万7000円、女性で約10万7000円となっており、その差は約6万円にも上ります。
この違いは、厚生年金加入月数と、その期間の収入額が年金額に反映されるため、現役時代の働き方が老後の年金額に大きく影響することが要因です。
一方、国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は、男女ともに月額5万円台にとどまっています。これは、保険料の未納や免除を受けた人が一定数存在し、その分、平均額が低くなっているためです。
5. 他の国の年金制度はどうなっている?世界の年金制度をご紹介
日本の年金制度は、国民全員が加入義務を持つのが大きな特徴です。最低10年以上保険料を納めれば、原則65歳から老齢年金を受給でき、会社員などは国民年金に加えて厚生年金も受け取れます。
一方、ドイツや韓国も加入義務はありますが、受給に必要な加入期間はドイツは5年、韓国は10年と日本より短めです。アメリカは、所得に応じて加入義務があり、約10年の就労実績が必要です。
フランスやオランダ、スウェーデンなどでは、加入期間の条件がなく、所定の年齢(62〜66歳前後)に達すれば年金を受け取れる国もあります。
逆にスペインでは15年以上、チェコでは35年など、長期加入が求められる国も存在します。
こうした各国と比べると、日本の制度は全員が加入するかわりに、加入期間や働き方で年金額が大きく変わる仕組みになっています。
欧米諸国のように「年齢になれば一律もらえる」制度ではないため、働き方や収入をどう積み上げるかが将来の受給額に直結する点が、日本の大きな特徴といえます。
だからこそ、将来の年金だけに頼らず、資産形成や医療保険などの備えも組み合わせることが大切です。
参考資料
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内リーフレット」
三石 由佳