2025年10月、秋が深まりつつあるこの時期は、老後の生活資金について考えるのに適した季節かもしれません。 老後に受け取る公的年金は、日本の高齢者にとって重要な収入源の一つです。
しかし、その仕組みや平均受給額について、具体的に把握している人はどれほどいるでしょうか。 日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金という「2階建て」の構造で成り立っています。
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満の全ての人に原則加入義務があり、「1階部分」の基礎年金にあたります。 一方、会社員や公務員などが国民年金に上乗せで加入するのが「2階部分」の厚生年金です。 両者の保険料の決め方や、老後の受給額には大きな違いがあります。
厚生労働省のデータを見ると、国民年金のみの平均受給月額は5万円台となっており、国民年金だけで豊かな老後を送るのは現実的ではないことが分かります。
一方、厚生年金と国民年金を合わせた平均受給月額は、男女全体で約14万6千円です。 ただし、受給額の分布を見ると、月額20万円未満の人が約8割以上を占めています。
本記事では、日本の公的年金制度の基本的な構造と、それぞれの年金の加入対象者、保険料、そして実際の受給額の平均や分布について詳細に解説します。
1. 日本の公的年金制度
公的年金の支給日は「偶数月の15日」です。
もし、15日が土日祝日となる場合は、その直前の平日が支給日となります。
日本の公的年金制度は2階建て構造になっており、1階部分には「国民年金(基礎年金)」、2階部分には「厚生年金」があります。
それぞれの、加入対象・保険料・老後の受給額について見ていきましょう。
1.1 「1階部分」国民年金:加入対象・保険料・老後の受給額
- 加入対象:日本に住む20歳以上から60歳未満の全ての人が原則加入
- 年金保険料:全員一律(※1)
- 老後の受給額:40年間欠かさず納めれば満額(※2)
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被保険者:第1号~第3号に分かれる(※3)
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
※3 第1号被保険者は農業者・自営業者・学生・無職の人など、第2号被保険者は厚生年金の加入者、第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者
1.2 「2階部分」厚生年金:加入対象・保険料・老後の受給額
- 加入対象:会社員や公務員、またパート・アルバイトで特定適用事業所(※4)に働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入
- 年金保険料:収入に応じて決まり(※5)、給与からの天引きで納付
- 老後の受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり
- 被保険者:第1号~第4号に分かれる(※6)
※4 1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※5 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※6 第1号は、第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人、第2号は国家公務員共済組合の組合員、第3号は地方公務員共済組合の組合員、第4号は私立学校教職員共済制度の加入者