9月に入り、日に日に暗くなる時間が早くなり、秋の訪れを感じます。
さて、日本年金機構では9月1日より順次、新たに「年金生活者支援給付金」の対象となる方へ、案内と請求書を送付しています。
年金生活者支援給付金って何?と思った方は少なくないでしょう。
年金生活者支援給付金は、一定の要件を満たす年金受給者の生活をサポートする目的で創設された制度です。対象となる方には、2カ月に1回の頻度で給付金が支給されます。
平均支給額は、以下の通り(2024年3月時点)。
- 老齢年金生活者支援給付金:月額4014円
- 障害年金生活者支援給付金:月額5555円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5057円
公的年金を柱として生活する方にとっては貴重な追加収入となるでしょう。
この記事では、年金生活者支援給付金について制度の内容や支給要件、給付額や手続き方法を解説していきます。
1. 年金生活者支援給付金とは?
年金生活者支援給付金は、年金に上乗せして支給される給付金で、以下の3種類があります。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
「老齢・障害・遺族」、それぞれの基礎年金を受給中の人が、公的年金を含めても所得が一定基準以下となる場合に、2カ月に一度、受け取ることができるものです。
2. 年金生活者支援給付金の対象者は?
3種類の年金生活者支援給付金には、それぞれの支給要件が設定されています。3種類共通の基準は、受給者本人の「前年の所得」です。
老齢年金生活者支援給付金には、これに加えいくつかの要件が加わります。
2.1 「老齢年金生活者支援給付金」支給要件
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
-
前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は90万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は90万6700円以下(※2)である。
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
2.2 「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の対象者
- それぞれの年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)
※ 障害年金、遺族年金等の非課税収入は除く
それぞれの給付金において、上記の要件をすべて満たす場合、年金生活者支援給付金を受け取ることができます。
3. 年金生活者支援給付金の給付基準額は?《2025年度》
年金生活者支援給付金の金額は、物価変動に応じて年度ごとに見直されます。
2025年度については前年度より+2.7%の増額改定となり、6月に支給された4月分の給付金から増額率が適用されています。
3.1 2025年度の年金生活者支援給付金「支給金額は+2.7%の増額」
- 老齢年金生活者支援給付金(基準額):5450円
- 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級6813円・2級5450円
- 遺族年金生活者支援給付金:5450円
老齢年金生活者支援給付金のみ、上記の基準額をもとに保険料納付済期間や免除期間に応じて実際の給付額が計算されます。
4. 年金生活者支援給付金の手続き方法は?
年金生活者支援給付金を受給するためには、必ず請求手続きが必要です。支給要件を満たせば自然に年金が増額される仕組みではありません。
ここでは、該当する方が多い2つのケース、「これから新たに老齢年金を受け取り始める人の場合」と、「すでに年金を受給中の人の場合」について、請求手続き方法を整理しておきましょう。
4.1 新たに老齢年金を受け取り始める人
- 65歳になる3カ月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封されて、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」が届きます
- 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書と併せて年金事務所に提出します
4.2 すでに年金受給中の人
- 毎年9月の第1営業日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます
- 必要事項を記載し、切手を貼ってポストに投函します
年金生活者支援給付金は、原則として請求した月の翌月分から支給が開始されます。
また、一度請求手続きをおこなえば、支給要件を満たす限り2年目以降は請求手続き不要で継続受給が可能です。
5. 老齢年金「国民年金・厚生年金」の平均月額はどれくらい?
ここからは、厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、厚生年金と国民年金の平均年金月額を確認します。
5.1 【国民年金・厚生年金】平均はいくら?個人差・男女差にも着目
5.2 国民年金の平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
5.3 厚生年金の平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:14万6429円(国民年金部分を含む)
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額は、男性で約16万7000円、女性で約10万7000円となっており、その差は約6万円にも上ります。
この違いは、厚生年金加入月数と、その期間の収入額が年金額に反映されるため、現役時代の働き方が老後の年金額に大きく影響することが要因です。
一方、国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は、男女ともに月額5万円台にとどまっています。これは、保険料の未納や免除を受けた人が一定数存在し、その分、平均額が低くなっているためです。
6. 老後の生活、公的年金だけで”やりくり”できる世帯はどれくらいいる?
厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の収入の実態を見ていきましょう。
まず、高齢者世帯全体の平均的な所得構成を見ると、収入の63.5%を「公的年金・恩給」が占めており、次いで仕事による収入である「稼働所得」が25.3%、「財産所得」が4.6%となっています。
しかし、これはあくまで全体の平均値です。
「公的年金・恩給を受給している世帯」に絞ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯が43.4%にものぼることがわかっています。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
6.1 【総所得に占める公的年金・恩給の割合別 世帯構成】
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%
このようにシニア全体で見れば稼働所得なども一定の割合を占めていますが、年金受給世帯に絞ると、その半数近くが公的年金収入のみに頼って生活しているという実態が浮き彫りとなっています。
7. 老後資金について考えよう
今回は、年金生活者支援給付金の概要について解説しました。
この制度は、公的年金と同様に「請求しなければ受け取れない」ものです。こうした情報を常に把握し、見落としや請求漏れによる「もらい損ね」を防ぐことが大切です。
年金や給付金だけで老後が安心とは言い切れません。少子高齢化によって年金受給額が減る可能性や、医療費・介護費の負担が増えることも踏まえると、現役世代の私たちには自助努力がより一層求められます。
この機会に、ご自身の老後資金について、改めて考えてみてはいかがでしょうか。






