しかし、子どもは予期せぬ行動をするもの。特に乳幼児は3時間ごとの授乳、頻繁なオムツ替えがあり、常に急な体調の変化にも敏感でいなくてはいけません。目を離した隙に乳幼児突然死症候群や窒息などによって、死に至ってしまう危険さえあります。
筆者は子どもをそばに置きながら、自宅でパソコン仕事をしていますが、長時間継続して作業できることはほとんどありません。ちらちらと子どもの様子を確認しながらの仕事は、どうしても5分、10分と細切れになってしまいます。時には抱っこ紐を使っておんぶや抱っこをしたまま、立ちながら作業をすることも。
こうした時、頭を上手く切り替えられればいいのですが、実際は常に頭半分は育児、頭半分は仕事という状態。育児も仕事もどちらも中途半端になってしまうので、子どもを十分にケアできなければ子どもに対する罪悪感が芽生え、仕事が思うように進まなければ自分の能力の低さを感じ、どちらに対しても大きなストレスを感じがちに。
保育園やベビーシッターなどを利用することの良さは、預けている間は仕事に集中できること、そして預け終わった後の子どもと一緒の時間を大切にできることにあると思います。そうやって頭の使い方も行動も全く異なる育児と仕事を、しっかりと物理的に切り替えられることが、子育て世代が仕事をしていく上では必要なのではないでしょうか。
他の方法も柔軟に選択できることが大事
筆者は、子連れ出勤そのものを否定するつもりはありません。保育園に預けることができないために働けなくなるのであれば、子連れ出勤をした方がいいという人もいるでしょう。一方で、子どもと一緒に過ごしながら仕事をしたいという人もいるかもしれません。
大事なことは、子連れ出勤を推奨していくことではなく、個々人に応じたあらゆる方法が選択しやすい社会にしていくことでしょう。
保育園、ベビーシッター、地域の子育て支援、学童保育といったサービスを誰でも使用しやすくすること。女性はもちろん、男性側も産休や育休を十分に取得できること。育休明けに正社員として仕事復帰できることなど、子連れ出勤以外にも早急に取り組まなければいけないことがあまりにもたくさんあります。
今後、政府が子連れ出勤を筆頭に、母親だけの負担が大きくなる施策を増やすことなく、他の環境整備にも力を入れていくことを望んでやみません。
秋山 悠紀