4. 【おひとりさま世帯】「貯蓄額」はどれくらい?《20歳代~70歳代の年代別》
総務省「家計調査報告(家計収支編)」によると、標準的な「65歳以上のおひとりさま世帯」の家計収支は、毎月2万円台の赤字となっています。
老後の生活費の赤字をカバーしたり、旅行やレジャーの「おたのしみ支出」、さらには医療費や介護費用が必要となったりしたときに頼りとなるのは、やはり貯蓄です。
そこで、J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](2024年)」より、年代別の単身世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)を確認します。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
4.1 【20歳代~70歳代】単身世帯の貯蓄額《平均・中央値》
- 20歳代:平均161万円・中央値15万円
- 30歳代:平均459万円・中央値90万円
- 40歳代:平均883万円・中央値85万円
- 50歳代:平均1087万円・中央値30万円
- 60歳代:平均1679万円・中央値350万円
- 70歳代:平均1634万円・中央値475万円
60歳代・70歳代の平均は1600万円台ですが、より実態に近い中央値に目を向けると、それぞれ350万円・475万円と大幅に下がります。
60歳代以降の貯蓄額は、リタイア後の年金生活の安心感に繋がる大切なものです。定年退職金や相続などで一気に貯蓄が引き上がる人もいますが、いずれも確実に老後のマネープランに組み込める人ばかりではありません。
働き盛りの現役時代から、コツコツと資産づくりを進めていけると良いですね。
年金については「将来の見込み額」をただ調べるだけではなく、「繰上げ・繰下げ受給」「加給年金」「在職老齢年金」といった「受け取り方」に関するしくみについても関心をもっておくと良いでしょう。
5. 安心して老後を迎えるために「収入の柱」を増やす工夫を
この記事では、65歳以上の単身シニア世帯の「家計収支・年金額・貯蓄額」を解説しました。
おひとりさまシニアの暮らしぶりをより具体的にイメージできたのではないでしょうか。
マネー事情は個人差があるものですが、平均値で見ていくと公的年金だけで全ての生活費をやりくりするのは容易ではないことがわかります。
将来的には少子化によって年金制度の支え手が減り、年金支給水準は下がる見通しです。
そのため、現役世代の皆さんは、老後に向けて公的年金以外の収入の柱を増やしていく必要があると考えられます。
参考資料
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- J-FLEC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](2024年)」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
和田 直子