「住民税非課税世帯」ニュースや新聞などでよく見聞きする言葉ではないでしょうか。

物価高が続く中、幾度か住民税非課税世帯を対象とした現金給付が実施されてきました。

2024年度補正予算に盛り込まれた住民税非課税世帯向けの「3万円給付金」は、2025年1月以降順次スタートし、残念ながら7月現在、多くの自治体で申請が締め切られています。ただし、申請期限を7月末、8月中旬まで延長している自治体もあるようです。

そもそも「住民税非課税世帯」とは、どんな要件を満たせば該当するのでしょうか。この記事では、住民税の基本から、非課税世帯になるための具体的な所得基準、年収目安について詳しく解説します。

1. 【住民税非課税世帯】現在進行中の「3万円」給付は多くの自治体で申請締切済

「住民税非課税世帯」という言葉を、ニュースなどでよく見聞きしますね。

この区分は、国や自治体などによる公的支援の対象を判定する目安としてたびたび用いられています。

実際にこれまでも、物価高騰に苦しむ世帯の生活を支えるため、1世帯あたり数万円の給付金や、子育て世帯への加算といった支援策が実施されてきました。

【ご注意】2024年度補正予算(※2024年12月可決・成立)に盛り込まれた「住民税非課税世帯」を対象とする「3万円給付金」は、2025年1月以降、各自治体で順次給付作業がスタートし、7月現在、多くの市区町村ですでに申請期限を迎えています。

なお、給付金の申請方法や給付までのスケジュール、細かい支給要件などは市区町村により異なります。お住まいの自治体の最新情報を、ホームページや広報誌などでご確認ください。LIMOでは個別のお問い合わせへのお答えはいたしかねます。

2. 【住民税非課税世帯】どんな要件を満たせば該当するの?

住民税のしくみの基本や、住民税非課税世帯となる要件について整理していきましょう。

2.1 住民税の基本をおさらい

住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に支払う地方税で、その地域の公共サービスやインフラ整備の財源となります。

個人住民税は、均等割(※1)と所得割(※2)の合計です。

※1 所得に関係なく一律課税となる部分
※2 所得に応じて税額が決まる部分

均等割・所得割ともに免除になることを「住民税非課税」と言います。そして、世帯全員が住民税非課税となる世帯は「住民税非課税世帯」と区分されます。

※「住民税の所得割のみ非課税」となる区分もありますが、各種給付金などの対象となるかどうかは、自治体により異なります。お住まいの市区町村などの基準をご確認ください。

2.2 住民税が非課税となる<3つの要件>

住民税が非課税となる要件は、以下のいずれかに当てはまるケースです。

  1. 生活保護を受けている
  2. 障害者、未成年者、寡婦(夫)、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
  3. 前年の所得が各市区町村の基準を下回る

1と2の要件は全ての市区町村で共通です。一方で、3の所得要件については、それぞれの市区町村が独自の基準を設定しています。

3. 【住民税非課税世帯】所得の基準はいくら?(例:東京都23区)

住民税非課税となる所得基準は市区町村ごとに違います。一例として、東京都23区内の基準を見てみましょう。

3.1 住民税非課税世帯となる要件(東京都23区内の例)

(1) 生活保護法による生活扶助を受けている方
(2) 障害者・未成年者・寡婦又はひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
(3) 前年中の合計所得金額が下記の方
同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下

※扶養親族は、年齢16歳未満の者及び地方税法第314条の2第1項第11号に規定する控除対象扶養親族に限ります。
※23区外にお住まいの方は、均等割額が非課税となる合計所得金額が異なる場合がありますので、お住まいの市町村に確認してください。

住民税が非課税になるかどうかは、住んでいる地域や世帯の状況によって基準が異なります。一つの目安として、東京都23区内では、同一生計配偶者や扶養家族がいない場合45万円以下です。

ただし、この「所得」は年収そのものではなく、年収から給与所得控除(会社員の経費にあたるもの)などを差し引いた後の金額です。

年収ベースで考えたほうがイメージしやすいという人も多いでしょう。

4. 【住民税非課税世帯】年収いくらで該当する?(例:東京都港区)

住民税が非課税になるかどうかのボーダーラインは、世帯の状況など複数の条件で決まりますが、特に「収入の種類」によって年収の基準が大きく異なります。

ここでは東京都港区の例を用いながら、住民税非課税世帯となる基準を、「収入ベース」で見ていきましょう。

4.1 前年の収入が以下より少ない人

  • アルバイトやパート:給与収入が100万円以下
  • 65歳以上で年金受給のみ:年金収入が155万円以下
  • 65歳未満で年金受給のみ:年金収入が105万円以下
  • 不動産収入等所得:収入から必要経費を引き、合計所得が45万円以下

例えば、東京都港区の基準で見ると、パートやアルバイトによる給与収入であれば年収100万円以下が目安です。

これが年金収入のみになると、年齢によって基準が変わります。65歳未満なら105万円以下ですが、65歳以上になると公的年金等控除額が増えるため、ボーダーラインは155万円へと引き上げられます。

さらに、不動産収入などの場合は、収入の額そのものではなく、収入から必要経費を差し引いた「合計所得金額」が45万円以下であるか、というように計算方法自体が異なります。

このように、住民税非課税の判定は、扶養親族の有無だけでなく、収入が給与なのか年金なのか、または事業所得なのかによっても基準が変わる、複雑な仕組みになっています。

5. 年金収入が中心となる高齢者世帯は「住民税非課税世帯」の割合が高い傾向に…

年金収入が中心となる高齢者世帯は、現役世代と比べて「住民税非課税世帯」に該当しやすくなる傾向があります。

その背景には、税制上の理由が大きく関わっています。

まず、多くの方は定年退職などを機に、現役時代よりも収入そのものが下がります。加えて、65歳以上の人は、年金収入から差し引ける「公的年金等控除」の額が手厚く設定されています。

さらに、遺族年金や障害年金は、制度上そもそも課税対象ではありません。

このような状況を裏付けるデータを、厚生労働省の「令和6年国民生活基礎調査」から見ていきましょう。

5.1 【年代別】住民税が課税される世帯の割合

【一覧表】住民税課税世帯の年代別割合

  • 30〜39歳:87.5%
  • 40~49歳:88.2%
  • 50~59歳:87.3%
  • 60~69歳:79.8%
  • 70~79歳:61.3%
  • 80歳以上:52.4%
  • 65歳以上(再掲):61.1%
  • 75歳以上(再掲):54.4%

※全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯が含まれます。
※総数には、年齢不詳の世帯が含まれます。
※住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯が含まれます。

住民税が課税される世帯の割合は、年代とともに変化しています。

30~50歳代では9割近い世帯が課税世帯ですが、60歳代では79.8%、さらに65歳以上では61.1%、75歳以上では54.4%と、高齢になるほど課税世帯の割合は顕著に下がっていきます。

ここで再確認しておきたいことは、住民税の課税基準はあくまで前年の所得であること。預貯金など個人の資産ではないという点です。

そのため、データ上は非課税世帯であっても、その中には「年金収入は基準以下だが、豊富な預貯金を取り崩して豊かに生活している」といった資産家の高齢者世帯も一定数含まれていると考えられます。

6. まとめ

本記事では、しばしば政府による公的支援の対象となる「住民税非課税世帯」について、定義や具体的な所得要件をわかりやすく解説しました。

住民税が非課税となる条件は、生活保護を受けているかどうかに加え、障害者・未成年者・寡婦(寡夫)・ひとり親といった特定の状況や、前年の所得が自治体の定める基準を下回っているかどうかで判断されます。この所得基準は、居住地や家族構成、収入の種類(給与・年金・事業所得など)によって細かく異なり、やや複雑な制度になっています。

なお、住民税の課税・非課税の判定はあくまで「前年の所得」に基づいており、預貯金などの資産は考慮されません。

つまり、収入は少なくても、まとまった貯蓄がある世帯も非課税世帯となる場合がある点には注意が必要です。

給付金は申請期限が設けられているため、今後も同様の支援策が実施される際には、お住まいの自治体の情報をこまめに確認し、忘れずに申請することが大切です。自身の世帯が非課税に該当するかどうか、普段から把握しておくことで、必要な支援を逃さず受け取る準備を整えておきましょう。

参考資料