同レポートでは、認知症患者が保有する金融資産を試算しています。「その額は、1995 年度末時点の 49 兆円から、2005 年度末時点には 101 兆円、2017 年度末時点には 143 兆円と試算される。また、将来 2030 年度時点では 215 兆円に達するとの結果になった。家計金融資産全体に占める割合は上昇が見込まれ、2030 年度には 10.4%と1割に達する見込みだ。」としています。
試算においては、認知症患者が200兆円を超える金融資産を保有しているとされています。2005年度末時点が約100兆円ですから、その額は25年で倍近くになることになります。
今後の議論のポイントは何か
伸びる寿命とともに、よく言われる「長生きリスク」は消えることはありません。したがって、よほどの資産がない限り、老後に積極的に生前に贈与をすることもないでしょうし、そもそも税率の問題もあります。
また、仮に贈与や相続を受けたとしても、贈与や相続を受けたものも、高齢者に近い年齢の場合もあります。いわゆる「老老贈与」、「老老相続」です。そうした場合にも、手にした金融資産を必ずしもリスク性資産にシフトをさせるかどうかは疑問です。それは、自身の「長生きリスク」も抱えているからです。
日本は「課題先進国」とも呼ばれます。今後は、ファイナンシャル・ジェントロジーの役目に注目が集まりそうです。
参考にした資料
マネー編集部
執筆者
私たちは、保険会社・大手銀行・証券会社など金融機関での勤務経験を有したメンバーで構成する、株式会社モニクルリサーチ運営の『LIMO(リーモ)〜くらしとお金の経済メディア〜』のマネー編集部です。
日本生命保険相互会社出身の村岸理美・三井住友信託銀行株式会社出身の和田直子・株式会社三菱UFJ銀行出身の中本智恵・SMBC日興証券株式会社出身の安達さやかなどを中心としたメンバーで構成。それぞれが大手金融機関にて主にリテール・法人・富裕層向けの資産にまつわるアドバイス業務を経験。主に国内外株式の仲介、国内外の債券、投資信託、生命保険の販売業務に従事し、トップセールスで多数の表彰歴を持つ人や、研修講師として年間100回超の登壇経験を持つ元研修講師なども在籍。
専門性の高いテーマで年間8000本以上の企画・執筆・編集・監修の実績があり、特に以下の分野を中心に、厚生労働省・金融庁・総務省などの官公庁の一次情報をベースに記事を企画・執筆・編集している。
【主な執筆分野】
公的年金制度(厚生年金保険・国民年金)、社会保障制度、相続・贈与・退職金、NISA・iDeCoなどの税制優遇制度、資産運用・資産形成・保険など
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