そんな時、仕事が欲しいがために「いくらでもやります」と言っては、年収3倍への道は遠くなってしまいます。フリーランスは下請けの、さらに下請けといった仕事も多くあるので、安く使われないようにしていくことがとても大事。

尾関さんは、時給換算をして2000円を切る仕事は受けないようにしているんだとか。またページ数や本数で単価いくらの仕事より、月5万円でこのくらいの作業量といった仕事の方が、効率的に仕事をこなせる人は儲かるとのこと。月単位の仕事を多く受注して限られた時間の中でこなしていくことで、収入アップが見込めるでしょう。

一方、華井さんはセミナーなどを通して周りのライターさんに単価を聞いて回ったそう。そこで業界の一般的な単価を知り、それよりも少し高めに設定するように。交渉の段階で下げていくことを前提としているため、思い切って少し高めの単価にしても、意外と「では、その金額でお願いします」と言われることもあるそうです。

子どもがいることを理解してくれるクライアントを

さらに尾関さんは、子育て中のママがフリーランスとして働く上では、クライアント選びもとても重要だと語ります。

自宅にいながら打ち合わせができるテレビ電話での会議では、以前、子どもが後ろにいることを気にするクライアントがいたそうです。また、夜中にかかってきたクライアントの電話で、せっかく寝かしつけた子どもが起きてしまったことも。

やはり子どもがいることに理解がなかったり無理な注文が多かったりするクライアントとは、仕事を一緒にすることは難しいというのが本音。仕事を断ることで、「もう二度と発注がこないかもしれない」と不安になるものの、本当に長く付き合っていきたい人かどうかを見極めることも、フリーランスに求められるスキルです。

そしてもう一つ、フリーランスが大事にしなければいけないのがスケジュール管理。「徹夜すればできる」というスケジュールでたくさんの仕事を受注した結果、子どもの生活リズムに振り回され、結局全然仕事が手に着かない状態になることもあります。

そのため尾関さんは、自分が1日で何時間、何円分の仕事をしているのかを定期的に見直し、限られた時間の中で効率的に収入を得ていたのかをチェックしているそう。そして子どもとの時間も大事にするため「夜は仕事をしない」と決めてスケジュールを組んでいます。

フリーランスが当たり前の時代に突入しつつある

ランサーズ株式会社が2018年4月に発表した、「フリーランス実態調査2018年版」によると、日本におけるフリーランス人口は1,119万人で、人口に占める割合は17%。子育て中の女性だけでなく、様々な年齢やライフスタイルの人がフリーランスという働き方を選択しています。

フリーランスは、福利厚生や手当といった会社勤めのようなメリットはないものの、自分の力で時間や仕事をコントロールし、出産や子育て、介護といったライフイベントを乗り越え、人生の主導権を握ることができます。そして、現在は女性が出産して子育てをしながらキャリアアップしていく上で、会社に依存することは不要な時代にもなってきています。

子育て中の女性や今後妊娠や出産を控えている女性は、フリーランスという働き方を選択しても決して損はないのではないでしょうか。

秋山 悠紀