米中貿易摩擦リスクの増減に応じて相場が乱高下
2018年12月14日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は前日より441円36銭安の21,374円83銭となりました。3日ぶりの反落です。
先週は株価が上下に振られる展開となりました。カナダ政府が中国の通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)を逮捕したことをきっかけに、米中の貿易摩擦が再燃するとの懸念から週初より軟調な展開となり、11日の終値は2万1148円02銭と、約8か月半ぶりの安値となりました。
ところが、カナダの裁判所が孟CFOを保釈したと伝わると、一転して中国関連銘柄などが広く買われる展開となりました。12日には、中国がハイテク産業育成策の「中国製造2025」を見直し、海外企業の参入に柔軟に対応するとの報道があったことから、さらに貿易摩擦リスク後退への期待が高まりました。
今週以降の動きはどうなるでしょうか。外的要因は、まだまだ楽観はできない状況です。足元では、欧州連合(EU)離脱をめぐる英国の混乱があります。11日には離脱案について英議会で承認のための採決が行われる予定でしたが、与党内にも反対意見が多いことから採決が来年1月に先送りされました。
メイ首相への不信任投票は否決されたものの、難しい舵取りになりそうです。ただちに「無秩序離脱」となるわけではありませんが、混乱が続けば、欧州株式市場や為替市場などにもそのリスクが波及することになります。
今週は18日、19日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が行われますが、米連邦準備制度理事会(FRB)が今年4回目の利上げを行うのは確実と見られています。
注目されるのは来年の動きです。当初は2019年に3回の利上げが見込まれていましたが、それがさらに少なくなる可能性もあります。いずれにしても、FOMC声明文の内容やパウエル議長の記者会見での発言には注意したいところです。
今週から年末にかけて、海外の投資家はクリスマス休暇を取る人が増えてきます。流動性も低くなりがちなので、柔軟に備えたいところです。
狭いレンジでもみ合う方向感のない展開
先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。12月3日に一時、直近の戻り高値である11月8日の高値(22,583円)を超えたものの、その後は上値を押さえられ下落してしまいました。
12月11日には、11月21日の安値(21,243円)を割り込み、Wトップが形成されました。チャートの形は相場の下落を予感させます。14日にはローソク足の実体が5日移動平均線を割り込みました。
目線は下に持たざるを得ませんが、かといってここからずるずると下がっていく局面でもありません。というのも、21,000円付近は、これまで何度も下値サポートラインとなっているので、このあたりでいったんは下げ止まると考えられました。
実際に、この付近で下ヒゲのあるローソク足になると、今度は窓をあけて上昇しました。しかし、その後は25日移動平均線で上値を押さえられ、再度下落しました。
今後の展開はどうなるでしょうか。なかなか方向感を出しにくいところです。現状は、21,800円付近を上値、21,000円付近を下値とする狭いレンジの中で上下しています。目線を定めるためには、このレンジをどちらかに抜けてからでも遅くないでしょう。
上値めどとしては、直近の高値である12月13日の高値(21,871円)、下値めどとしては、12月11日の安値(21,062円)あたりになります。
25日線を上抜ければ、22,500円付近に75日線があります。11月8日、12月3日の戻り高値と重なるあたりで、抜けるにはパワーがかかるところですが、上抜けてしまえば、さらなる上昇にも期待できます。
下原 一晃