6. 年の差夫婦は要チェック!加給年金の対象かも…

公的年金には、本来の老齢給付のほか「現役時代から知っておきたいしくみ」もたくさんあります。「加給年金」もそのひとつです。

「加給年金」とは、厚生年金保険の加入期間が20年以上ある人が「65歳になった時点で、一定条件を満たす扶養家族がいる場合」に加算される年金です。

「年金の家族手当」などとも呼ばれる制度で、本人の厚生年金に「加給年金」が加算されます。加給年金の対象となる世帯は以下の通りです。

  • 厚生年金加入期間20年以上の人が、年下の配偶者や18歳未満の子を扶養している世帯

令和7年4月からの加給年金額(および年齢制限)

配偶者:23万9300円
※65歳未満であること(大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません)

1人目・2人目の子:各23万9300円
※18歳到達年度の末日までの間の子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子

3人目以降の子:各7万9800円
※18歳到達年度の末日までの間の子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子

配偶者が65歳になるまで加算され、歳の差が大きいほど受給期間が長くなるしくみです。

厚生年金が全額停止の場合は加給年金も停止となる点には注意が必要です。また、配偶者が65歳になった時点で、加給年金は終了し、振替加算という制度に移行します。

7. 年金だけじゃ足りない?「自分専用の老後資金プラン」を考えよう

今回は、年齢別に年金の受給額がどのように異なるかを確認してきました。

年金制度そのものがすぐに破綻する可能性は低いと考えられていますが、物価の上昇や少子高齢化の加速など、社会環境の変化によっては、「実質的な年金の受取額が目減りする」可能性は否定できません。

そのため、「年金だけで老後の生活は大丈夫かな?」と感じている方は、自助努力による備えを考えておくことが重要です。

ただし、必要な老後資金の額は人によって異なります。たとえば、「何歳まで働きたいか」「どんな住まいや生活スタイルを希望するか」「医療や介護への備えはどの程度必要か」など、ライフプランによって大きく変わってきます。

だからこそ、まずは“自分に必要な金額”を明確にすることが第一歩です。一人ひとりに合った資金計画を立てて、将来への不安を少しでも減らしていきましょう。

「老後の安心」は、思い立った今から準備することができます。気になる方は、ぜひこの機会に自分自身の老後資金について考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

奥野 友貴