2025年も後半に入り、本格的な夏の暑さが続く7月。この時期は、熱中症対策とともに、老後の生活資金について考える良い機会でもあります。
公的年金は老後の生活を支える大切な柱ですが、それだけでは十分な生活費を賄えないと感じる方も少なくありません。特に、年金収入が少ない方にとっては、日々の暮らしに不安を覚えることもあるでしょう。
そんな低年金の方々を支援する目的で2019年に始まったのが「年金生活者支援給付金」という制度です。比較的新しい制度のため、まだご存じない方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、2025年度に引き上げが決定したこの給付金の支給額や、受給するための要件、そして具体的な申請方法について詳しく解説していきます。
1. 低年金シニアの支え「年金生活者支援給付金」とは
「年金生活者支援給付金」は、年金収入やその他の所得額が一定基準額以下の年金生活者を支援する目的で、2カ月に一度、年金に上乗せして支給される給付金です。
2019年に始まった比較的新しい制度なので、聞きなれない人もいるかもしれません。受給中の年金に合わせて、以下の3種類の給付金が設定されています。
- 老齢年金生活者支援給付金(補足的老齢年金生活者支援給付金)
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
次では年金生活者支援給付金の「給付額」や「支給要件」について見ていきます。
2. 2025年度の給付金額は前年度比2.7%引上げが決定
2025年度の年金生活者支援給付金の給付金額は、前年度から2.7%の引き上げが公表されています。
【2025年度】
- 老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5450円
- 障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円・2級5450円
- 遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円
老齢年金生活者支援給付金については、この基準額に基づき保険料納付済期間等に応じて実際の給付額が計算されます。
上記はいずれも「月額」の金額です。支給日には2カ月分まとめて年金に上乗せされます。上記の金額通りを受給できる場合、1回の支給で約1万円、年額にすると約6万円になります。
なお「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2024年3月における平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金4014円、障害年金生活者支援給付金5555円、遺族年金生活者支援給付金5057円です。
※2024年3月において認定されている平均給付金額です。
3. 給付金の支給対象となる要件
年金生活者支援給付金の支給対象となる人はどんな人でしょうか。支給要件についても見ていきます。
「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」は、それぞれの年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)を受給中で、前年の所得が472万1000円以下の人です。
給付金の判定には、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれず、扶養親族等の数に応じて所得基準額は変動します。
老齢年金生活者支援給付金のみ、支給要件はやや複雑です。次で解説していきましょう。
3.1 「老齢年金生活者支援給付金」対象となるのはこんな人
老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす人です。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれのは88万7700円以下
老齢年金生活者支援給付金の判定にも、障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
また「基準額ギリギリで給付対象となる人」との間に不公平感が生じないように、「基準額をわずかに超えて給付対象外となる人」は「補足的老齢年金生活者支援給付金(※)」の支給対象となります。
※補足的老齢年金生活者支援給付金
1956(昭和31)年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、1956年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。所得が増えるにつれて、補足的老齢年金生活者支援給付金の給付額は減ります。
4. 【記入例】年金生活者支援給付金は「申請が必要な給付金」
公的年金と同じく、年金生活者支援給付金を受け取るためには、請求手続が必要です。
これから65歳を迎える人には、誕生日の3カ月前に、老齢基礎年金の請求書に同封されて給付金請求書が郵送されます。同封の給付金請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書とともに提出しましょう。
すでに年金を受給中の人で、新たに年金生活者支援給付金の対象となった場合は、毎年9月1日順次年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が郵送されます。必要事項を記入し、郵便ポストに投函しましょう。
なお、繰上げ受給中の場合は書類の様式が異なります。
一度請求書を提出すれば、支給要件を満たす限り2年目以降の手続きなしで継続して受給が可能です。継続支給の判定結果は前年の所得に基づき、毎年10月分(12月支給分)から1年間反映されます。
なお、給付額の改定に際しては「年金生活者支援給付金支給金額改定通知書」が、支給対象外となった場合は「年金生活者支援給付金不該当通知書」が郵送されます。
5. 請求書手続きからどれぐらいで給付金が支給されるのか
年金生活者支援給付金は、原則として手続きした翌月分から支給の対象となります。請求書が届いたら、早めに認定請求の手続きをおこないましょう。
なお、新規で基礎年金の受給権を得た人は、受給権を得た日(※1,2)から3カ月以内に、年金生活者支援給付金の認定請求の手続きをおこなえば、年金の受給権を得た日に年金生活者支援給付金の認定請求の手続きをおこなったものとみなして、遡って支給されます。なお、受給権を得た日から3カ月を過ぎると、手続きをおこなった翌月分から支給対象となります。
※1 老齢基礎年金の繰上げ受給をされている方は、65歳に到達した日
※2 老齢基礎年金の繰下げ受給をされる方は、繰り下げの申出を行った日
6. まとめにかえて
今回は、年金生活者支援給付金制度の概要について解説していきました。給付金を受給するには、申請が必要です。
「もらえるはずだったのに、知らなかったから申請しなかった」ということがないように、常にアンテナを張って、制度の対象者に該当する方は早めに請求手続きを行いましょう。
自治体によって案内方法などが異なる場合もあるため、お住まいの自治体ホームページなどで最新情報を定期的にチェックしておくと良いでしょう。
※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。




