老後に受け取る公的年金(国民年金・厚生年金)は、現役時代の働き方や収入が反映されるため、一人ひとり受給額が異なります。
しかし、年金額とその他の収入を合わせても一定基準以下の場合「年金生活者支援給付金」の対象となる可能性があります。
この年金生活者支援給付金は、2019年にスタートした比較的新しい制度であるため、聞きなれない人もいるかもしれませんね。
今回は最新の年金額改定に関する情報を整理。今のシニア世代の「国民年金・厚生年金」の受給額事情に触れたあと、「年金生活者支援給付金」の支給要件・給付額・手続き方法について解説していきます。
1. 2025年度の年金額「+1.9%」となるも、実質目減りという現状
2025年度(令和7年度)の年金額は、前年度より1.9%引き上げとなっています。
3年連続のプラス改定にはなりましたが、「マクロ経済スライド(※)」によって物価上昇率を下回る改定率となっており、実質的には年金額は目減りしています。物価上昇に年金額が追い付けていないのです。
※マクロ経済スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ
1.1 厚生年金の受給額にも個人差が。3万円未満となるケースも
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金と厚生年金の受給状況を見てみましょう。グラフの受給額分布から、個人差や男女差に着目してください。
国民年金・厚生年金の年金月額
出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
【国民年金】平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
【厚生年金】平均年金月額
※国民年金部分を含む
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
国民年金の場合、全体、男女ともに平均月額は5万円台です。厚生年金の平均月額は全体で14万円台でした。男女別にみると男性は16万円台、女性は10万円台です。
ただし上記はあくまでもそれぞれの平均額。グラフが示す通り、国民年金の受給権者だけではなく、厚生年金の受給権者の中にも、月額3万円未満となるケースがあります。
年金とその他の所得を含めても、一定基準以下の所得となる場合「年金生活者支援給付金」を受け取れる可能性があります。