年の暮れも近づき、テレビでは年賀状に関するCMが流れる季節となりましたね。2019年用の年賀はがきの引き受け開始は12月15日(土)からですが、気の早い人だと「もう投函する準備はできている」という状態かもしれません。

一方で、年賀状の発行枚数は、ピークだった2003年の約44億6000万枚と比べると、2018年用(2017年発行)の発行枚数は約29億7800万枚と実に3分の2まで減少。ピークを迎えた後も、2006年から2008年にかけては若干、枚数が伸びたりもしたのですが、それ以降は継続的に低下しており、年賀状を書く人は年々、確実に減ってきています。

そんな中、最近、「終活年賀状」というものが話題となっています。これはいったいどんなものなのでしょうか?

「終活年賀状」とは

終活年賀状とは、「年賀状を今年限りで辞退する」という旨の文章を書いた年賀状のことです。「終活」とは、ご存じの人も多いと思いますが「自分の人生の終わりに向けての活動」のことで、もともと、そうした終活の一環、身辺整理の一つとして「年賀状を出すのをやめる」ということは行われていたようです。

そうした中、ここ最近になって、「最後の年賀状宣言」を行うことが「終活年賀状」「年賀状じまい」などと呼ばれるようになりました。実際のところ「終活していることを知らせる年賀状」「終活の一環としてもう年賀状を出さないという通知」というより、ほとんどは単に「年賀状を出すのは今年で最後だという通知」なので、ネーミングとしては、「終活年賀状」よりも、「年賀状じまい」(あるいは「年賀状終活」など)のほうが適切のような気がしますが……。

ともあれ、年賀状を出すのをやめるだけでなく、その旨を宣言した年賀状を出すのには、

「出さない理由を理解してもらいたい」
「これまでの年賀状のやり取りへのお礼はきちんと言いたい」
「急に年賀状を出さないことで心配をかけたくない」

といった理由が挙げられ、それまでの送り相手に誠実であろうとして生まれたもののようです。

驚いたことに、「年賀状を今年いっぱいでやめたい人」向けの文例集が、年賀状の外注業者のサイトに載っていたりもします。ある意味で自殺行為とも言えるのですが、ヤケになっているのか、あるいは「最期を迎える客」からもきっちり稼いでおこうということなのでしょうか。

高齢化だけが理由じゃない 年賀状の「終活」

加えて、こうした文例をまとめた記事がほかにもネット上に多くあることから、一定のニーズの盛り上がりがあることもうかがえます。また、高齢になった親の年賀状を書いている人が、「親の分までつくるのは疲れてしまった」と終活年賀状を選択することもあるようです。

しかし、終活年賀状はいまや高齢者にとどまらず、40代のような終活とはあまり縁のない世代にまで広がっています。その背景には、どんな理由があるでしょうか?