年金は、老後の生活を支える大切な収入源ですが、なかでも「厚生年金」は、比較的手厚くもらえるというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際にどれくらいの年金が受け取れるのか、具体的な金額や受給条件までしっかり把握できている人は、それほど多くありません。
そこで本記事では、厚生年金の平均受給額・受給割合について紹介していきます。
50歳代からでも始められる「老後対策」も紹介しているので、老後が不安と感じている方はあわせて参考にしてください。
1. 老後に「厚生年金」を受け取れるのはどんな人?
まずは、あなたが老後に「厚生年金を受給できるのか」を確認するために、日本の年金制度の基本構造について押さえておきましょう。
日本には「国民年金」と「厚生年金」という2種類の公的年金があり、どちらを受給するかは、「現役時代の就労形態」によって決まります。
この制度は2階建て構造となっており、基礎となる1階部分が「国民年金」です。
これは、日本に住む20歳から60歳未満のすべての人が原則として加入する仕組みになっています。
さらに、上乗せ部分となるのが「厚生年金」で、これは国民年金に追加される形で、主に企業や官公庁で働く人たちが対象となる制度です。
つまり、会社勤めや公務員としての勤務経験が一度もない場合、たとえば自営業者やフリーランス、専業主婦などは、厚生年金の対象外となり原則受給できません。
- 厚生年金を受け取れる人:会社員・公務員など
- 厚生年金を受け取れない人:自営業者・フリーランス・専業主婦など
では、厚生年金まで受け取れる人(国民年金+厚生年金)と、厚生年金の対象外である人(国民年金のみ)とでは、月々の受給額にどれほどの差があるのでしょうか。
1.1 公的年金(国民年金・厚生年金)の受給額の「平均」はいくら?
続いて、厚生労働省年金局が公表している「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、公的年金の受給額の平均について見ていきましょう。
【厚生年金まで受け取れる人(国民年金+厚生年金)】
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
【厚生年金の対象外である人(国民年金のみ)】
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
国民年金は一律であるため、支給額にはそれほど大きなばらつきが見られず、国民年金のみを受け取っている人の月額受給額は、男女を問わず5万円台にとどまっています。
一方で、国民年金に加えて厚生年金に加入していた人の年金(いわゆる厚生年金)の平均支給額は、月額でおおよそ14万円台となっています。
「厚生年金は比較的充実している」と言われることもありますが、それでも平均では15万円に届いていないのが実情です。
では、月15万円以上の厚生年金を受け取っているシニアは、どの程度いるのでしょうか。