3. 介護保険料の地域差が家計・生活に与える影響
介護保険料の地域差は、私たちの家計や生活にも影響をおよぼします。
地域差による影響が現れるお金のひとつが「年金」です。65歳以上の介護保険料は、以下の条件を満たした場合に年金から天引きされます。
- 老齢もしくは退職、障害または死亡の事由により年金を受給している
- 年間の受給額が18万円以上ある
そのため、差し引かれる介護保険料によっては、同じ年金受給額でも手取り年金額で損をする可能性があるのです。
年金からは介護保険料のほかに国民健康保険料や所得税、住民税が差し引かれます。最終的な手取り年金額は介護保険料以外の税や社会保険料の金額にもよりますが、介護保険料の金額によっては、ほかの自治体に住む人よりも手取り年金額が減る可能性があるでしょう。
また、介護保険料の地域差は私たちの将来設計にも影響するかもしれません。現在住んでいる自治体の介護保険料が高い場合、将来も住み続けたいと思っても、保険料の負担の高さがネックになることがあります。とくに年金収入や貯蓄が少ない人にとっては、少しでも負担を下げるために移住を検討する人もいるでしょう。
介護保険料の地域差は、老後の生活に少なからず影響を与えるものといえるでしょう。
4. まとめ
65歳以上の介護保険料は、それまでと算定基準が変わるため、グッと高くなったと感じる人もいるでしょう。加えて、地域差があることで不公平さを感じやすくなります。公的な介護支援は重要な行政サービスですが、運営の仕方には課題が残っているといえるでしょう。今後の制度や保険料負担の見直しが期待されます。
参考資料
- 厚生労働省「第9期計画期間における介護保険の第1号保険料について」
- 厚生労働省「介護保険事業状況報告の概要(令和7年1月暫定版)」
- 大阪市「区別第1号被保険者数」
- 大阪市「区別要介護認定者数」
- 大阪市「第9編 国勢調査 -高齢者数、夫婦世帯数、子供の数-」
- 大阪市「推計人口(毎月1日現在)・人口異動」
- 大阪市「高額な介護保険料について」
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
石上 ユウキ