香港の日系金融機関であるニッポンウェルス(Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank)が、仮想通貨イーサリアムの共同開発で知られる米コンセンシス社や新生銀行など4社間の業務提携を11月6日に発表した。

2014年に設立されたフィンテック企業であるコンセンシス社は、ブロックチェーンの技術開発に定評があり、各国の政府機関や金融機関などからも注目されている。

この提携によりニッポンウェルスは、コンセンシス社の技術力やノウハウを生かし、香港で先行的にフィンテック分野におけるイノベーションへの取り組みを進める。具体的には、香港でライセンスを持つ金融機関初の取り組みとして、キーマネジメントやeKYC分野を念頭にブロックチェーン関連事業の開発を開始する。

ニッポンウェルスのCIOである長谷川建一氏は、ブロックチェーン関連事業の将来性について次のように語る。

「デジタル資産の増加に伴い、サイバーセキュリティの重要性が増していきます。たとえば、キーマネジメント業務は、デジタル資産に紐づいたプライベートキー(鍵)をどう保管するかという課題のソリューションになると考えられますが、この点でブロックチェーンと高い親和性があります。デジタル資産を守るプライベートキーの保管というサービスは、現状の金融機関にはまだありません」

ニッポンウェルスはアジア随一の資産運用センターである香港で、「世界水準の資産運用商品」と「日本基準のサービス品質」を掲げ、日本人を含めた個人投資家向けの資産運用業務を順調に拡大してきた。

その香港では、フィンテックを金融産業の次の発展の推進力とするため、当局も環境整備に力を入れている。こうした動きを追い風に、ニッポンウェルスではブロックチェーン技術をベースにした新規事業を順次展開する計画だ。

※冒頭の写真は、向って左からニッポンウェルス 取締役CEO 中島努氏、コンセンシス マネージングディレクター ジョン・リリッチ氏、トライベイキャピタル マネージングディレクター 三浦清志氏
 

LIMO編集部