中間選挙のイベント通過の安心感から株高傾向に
2018年11月9日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より236円67銭安の22,250円25銭となりました。先週は米国の中間選挙が行われたことから、前半は様子見といったところでした。結果が出たのは7日の後場で、上院は与党・共和党が過半数を維持したものの、下院では野党・民主党が過半数を奪回しました。
いわゆる「ねじれ議会」になればトランプ政権の経済政策が滞ることになります。不透明感が広がったことから、同日の日経平均も反落しました。
ただし、米国市場では選挙の結果は予想通りと捉えられ、むしろ、イベント通過の安心感からリスクオンの動きとなりました。ダウ工業株平均は大幅に続伸し、上昇幅は500ドルを超えました。8日の日経平均も前日比401円12銭高と連れ高となっています。
今週以降の動きはどうなるでしょうか。中間選挙の結果が判明し、アク抜けになったとは言うものの、「ねじれ議会」になることには変わりありません。トランプ氏の政権運営も厳しくなりそうです。トランプ氏が大統領就任以来進めてきた規制緩和などの経済政策にもブレーキがかかることになるかもしれません。
さらに懸念されるのは、「ねじれ議会」となったために、通商政策の姿勢が強硬になるのではないかということです。月末にアルゼンチンのブエノスアイレスで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議において、トランプ氏は中国の習近平国家主席と会談を行う見通しです。
現状は、そこでの貿易合意の草案作成を指示したと伝わっていますが、楽観はできません。期待ほどの進展がなければ失望売りにつながります。
足元では、円相場が円安傾向となっているのは日本株にとって追い風になりそうです。8日のニューヨーク外国為替市場では、一時114円09銭と、およそ1か月ぶりの円安・ドル高水準となりました。しばらくは、外的環境に応じて上下に振られる展開になりそうですが、チャンスは積極的に拾っていきたいところです。
「半値戻しは全値戻し」への期待も高まる
先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週は長い陽線が続いて、5日移動平均線を回復しました。先週は、ここをキープできるかどうかが一つのポイントでした。結果的には、短い陰線と陽線が繰り返し現れるような動きとなりましたが、それでも5日線に下値をサポートされて上昇しました。8日には一時、25日線を回復しました。
今後の動きはどうなるでしょうか。現状は、10月2日から10月26日までの下落の3分の1戻しとなる22,130円を突破したあたりです。今後の上値めどとしては、半値戻しである22,709円が意識されます。
このあたりは、75日線や、10月2日からの下落の戻り高値とも重なるだけに、抜けるには若干のパワーも必要ですが、ここを抜ければ、「半値戻しは全値戻し」への期待も高まります。まずは今週、先週の高値の22,583円を超えることができるか注目したいところです。
逆に下値めどとしては、5日線や、目先で意識されやすい22,000円あたりになります。ただし、ここを抜けても急落が続くとは考えにくいところです。というのも、現状は10月2日から10月26日までの急落が底を打ち、反発するような動きになっています。
ここから再度下降トレンドが形成されるには、10月26日の安値(20,971円)を再び割り込む必要があります。やや距離があることから、そこまで下がるのにも抵抗がありそうです。若干の調整が入っても押し目買いの好機とみていいでしょう。
下原 一晃