「年金だけでは生活が苦しい…」そんな方々を支援するために設けられた制度が「年金生活者支援給付金制度」です。
ただし、年金生活者支援給付金を受け取るには申請が必須で、手続きを忘れると給付金を受け取れない点に注意しなければなりません。
年金生活者支援給付金制度の対象となるのは、老齢基礎年金・障害年金・遺族年金を受給する方ですが、今回は最も受給権者が多い「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件や給付基準額について解説していきます。
記事の後半では給付金の請求方法も解説しているので、もらい忘れを防ぐためにも今すぐ確認しておきましょう。
1. 「老齢年金生活者支援給付金」とは?
「老齢年金生活者支援給付金」は、老齢基礎年金の受給者を対象とする給付金です。
公的年金等の収入が一定水準以下であることなど、すべての条件を満たせば年金に上乗せして給付金が支給されます。
1.1 老齢年金生活者支援給付金を受け取れる人とは?
老齢年金生活者支援給付金を受け取れるのは、以下のすべての条件を満たす方です。
【支給要件】
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
2. 2025年6月支払分から増額!老齢年金生活者支援給付金はいくらもらえる?
老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は、年金額と同様に物価や賃金の変動を考慮して毎年度改定されます。
2025年度の給付基準額は以下のとおりです。
【2025年度の給付基準額(老齢年金生活者支援給付金)】
- 5450円(前年度比+140円)
老齢年金生活者支援給付金の給付額は「保険料納付済期間」や「被保険者月数」に応じて異なり、年金と同様に個人差があります。
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢年金生活者支援給付金の平均給付額は「4014円」でした。
実際の給付額は、日本年金機構から届く「年金振込通知書」等で確認しましょう。
なお、老齢年金生活者支援給付金は、申請しないと受け取れないことに注意が必要です。
最後に、年金生活者支援給付金の請求方法について確認しておきましょう。
3. 年金生活者支援給付金の請求方法
65歳を迎えて新たに年金を請求する方と、すでに年金を受け取っている方では給付金の請求方法が異なります。
3.1 新たに年金を請求する方
老齢基礎年金の受給を開始する場合は、新規に請求する必要があります。この場合、年金の請求書と年金生活者支援給付金の請求書が同封されます。
65歳になる3ヵ月前に給付金請求書が入った封筒が届くので、必要事項を記入して返送しましょう。
3.2 すでに年金を受け取っている場合
すでに年金を受け取っている方で、新たに支給要件を満たす場合は、毎年9月頃に「年金生活者支援給付金請求書」が郵送されます。
なお、年金生活者支援給付金を受け取っている方で、引き続き支給要件を満たしている場合は、翌年以降の手続きは原則として不要です。
4. まとめにかえて
老齢年金生活者支援給付金は、老齢基礎年金の受給者であることや、年金収入が一定基準以下の方に給付されます。
2025年度は物価上昇を反映し、給付額が2.7%引き上げられました。
改定後の金額が振り込まれるのは6月支払分からで、4月・5月の2ヵ月分が支給されます。
ただし、この給付金は申請しないと受け取れないため、対象となる方は忘れずに手続きを行いましょう。
参考資料
- 厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
加藤 聖人