「年収1000万円以上」という求人広告をよく目にすることがあります。これは単純な求人情報というだけではなく、多くの就業者の目を引く広告ということもあるでしょう。実際に国税庁の資料を見れば年間給与所得で1000万円を超える人の割合は全体の約4%です。決して高い比率とは言えないでしょう。では、今回は年収1000万円を手にするためにはどうすればよいのかを考えてみたいと思います。
給料が高い企業とはどこか
給料が高い企業というとどのような企業をイメージするでしょうか。銀行や保険、商社、広告代理店、TV局、製薬会社、通信会社などの産業で活躍する具体的な会社名が思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
では、皆さんが思い浮かべた企業の共通点は何でしょうか。もちろんそうした企業の共通点は、従業員の数も多く既に大企業であるということはあるでしょう。そうした従業員が高い給料を手にできる企業を見て行くといくつかの共通項が見えてきます。
給料が高い企業の共通項
では給料が高い企業にはどのような共通項があるのでしょうか。早速見て行きましょう。
その1:規制業種である
銀行や証券、保険、放送業界などは高給を手にできる企業が多く存在しますが、それらの業界の多くは規制業種です。事業を始めるのに監督官庁による免許が必要であったり、許可が必要であることが多い産業です。
規制業種であることで、新規参入が自由な業界と比べると競争が緩いと言える側面もあるでしょう。
また金融などはインフラに近い産業でもあり、装置産業としてみれば一人当たり収益が高くなり、給与が高いということもあるでしょう。
もっとも、規制業種ということで監督官庁などによるルール変更で収益構成が変わることもあります。したがって、政府の影響力からも目が離せません。最近では、政府が通信事業者の料金に対しても影響力があることも認識された方も多いのではないでしょうか。
その2:ビジネスモデルに強みがある
給料が高い企業は必ずしも規制業種には限りません。キーエンスのように費用に収益力の高い企業でもその従業員は高い給与を手にすることができます。
ビジネスモデルに強みがあれば継続的に収益を生み出すことも可能です。ビジネスモデルに強みのある企業は、そのビジネスモデルを描いた人や組織、またそのオペレーションを確立ひた人が評価されるべきです。
その3:市場シェアが大きい
テレビの広告代理業界のように大手数社で市場の大きな部分を分けている状況であれば、業界全体が大きく崩れなければ、事業を行う企業のマネジメントも人員配置もしやすいでしょう。
そうした事業基盤がしっかりとし、収益を出し続けられる企業では従業員の生産性も結果として高くなり、給与が高くなるということもあるでしょう。
高給は個人の能力に必ずしもよらないのでは
ここまで見てきたように、高い給料を手にできる業種や企業には共通項があります。裏を返せば、給与の原資となる収益の源泉は、その産業であったり、企業のビジネスモデル、またポジショニングであったりします。
もっとも、長期的に見れば、産業動向は常に一定ではないですし、企業においても栄枯盛衰はあります。したがって、今給与が高い企業に就職したからといって定年を迎えるまでも同じ状況ということは誰しも言えないと思います。
ただ、高い年収を手にしているからといって、その個人の能力が高いというよりも、自分が就職しようとする産業の選別や企業の選択の要素が大きいのではないと思えます。ここをはき違えているビジネスパーソンが多いような気がします。
個人的にも金融業界にいて、自分の周りに優秀な人材が多くいたという事実は認めます。しかし、職場転換や転職で周りの人材が短期間にどんどん変わっても、日常業務に大きな支障はなく、「ああ、金融業というのは人に付加価値があるのではなく、この仕組みに付加価値があるのか」と感じるところが多かったように思います。こうして考えると、高い年収を手にするには、スキルアップのような自己研鑽は必要ですが、産業と企業を見る目を肥やすということをまずは心掛けるということも必要ではないでしょうか。
青山 諭志