米中貿易摩擦解消への期待から、輸出関連銘柄が買われる

2018年11月2日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より556円01銭高の22,243円66銭となりました。急反発です。上げ幅は1月4日(741円高)に次ぐ今年2番目の大きさでした。

2日午後、米国の通信社が、11月末にアルゼンチンのブエノスアイレスで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議において、トランプ大統領が中国の習近平国家主席と会談を行う見通しであるとともに、そこでの貿易合意の草案作成を指示したと報じました。

それが伝わると、米中の貿易摩擦解消が進展するとの期待から、中国への輸出関連銘柄が伸びました。外国為替市場で円相場が1ドル=113円台に下落したことも買いの要因となっています。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。ビッグイベントとなるのが、6日に行われる米中間選挙です。今回は上院(定数100)のうちの35議席、下院(同435)の全議席、全50州のうちの36州の知事が改選されます。

現在、与党の共和党は上院下院でともに過半数となっています。上院は共和党が過半数を確保するのがほぼ確実とみられています。ただし今回は各地で反トランプ派の有力候補が多数立候補しており、下院では野党民主党が過半数を奪回する可能性も指摘されています。

上院下院ともに共和党が勝てば、減税など追加の政策が打ち出される期待から相場にも追い風となりそうです。

ただし、下院で民主党が過半数となれば、議会にねじれが生じて法案を通過させるのが容易ではなくなり、株式相場、為替相場にも大きな影響が出るでしょう。もちろん、もし上院でも共和党が負けるとなると、トランプ氏自身の立場も危うくなります。

投票の結果は、日本時間の7日午後あたりに判明します。東京株式市場は、その情勢によって上下に振れる展開になるかもしれません。国内では6日のトヨタ自動車をはじめ、大手企業の決算が相次ぎます。マーケットの期待に応えられるかどうか、注目が集まります。

5日移動平均線、22,000円回復で戻りを試す展開へ

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週は10月26日に一時20,971円と、21,000円を割り込みました。先週はこの下値をキープできるかどうかが一つのポイントでした。29日に上ひげの長い陰線となったことからさらなる下落も懸念されましたが、30日、31日には陽線が続き、底打ちの期待も出てきました。

しかし、10月24日から25日の窓埋めができず、1日には22,000円目前で再度下落しました。通常なら、このまま21,000円と22,000円の間でもみ合いが続くところですが、2日に一気に反転すると22,000円を突破しました。

今後の動きはどうなるでしょうか。現状は、戻しを試す展開に期待が持てるところです。5日移動平均線や、目先で意識されやすい22,000円を回復したことに加えて、直近の安値である9月7日の安値(22,172円)も回復しました。

10月25日には、ここを割り込んだことから、3月26日以来続いていた上昇トレンドのチャネルラインを下抜けてしまいました。その点では、目線を上に持つか下に持つか判断するためには大事なポイントの一つだったわけですが、ここを上抜けたのは明るい兆しといえます。

2日の大幅上昇で、10月2日から10月26日までの下落の3分の1戻しとなる22,130円を突破しました。今後の上値めどとしては、半値戻しである22,709円あたりが意識されます。このあたりは25日線、75日線とも重なるだけに、抜けるには若干のパワーも必要ですが、ここを抜ければ「半値戻しは全値戻し」への期待も高まります。

逆に下値は、5日線の21,700円前後になるでしょう。このあたりは8月13日の安値にも重なります。

下原 一晃