金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、年金だけでは日常生活費程度もまかなうことが難しいと答えた単身世帯は、60歳代で46.9%、70歳代で32.3%。
また「ゆとりはないが、日常生活費程度はまかなえる」と答えた単身世帯は60歳代で46.4%、70歳代で58.1%でした。
また「年金ではゆとりがないと考える理由」として、2位を大きく引き離してトップに挙がったのが「物価上昇等により費用が増えていくとみているから」で、60歳代62.0% 70歳代65.8%でした。
「人生100年時代」に老後を生きる私たちは、長生きリスクとともにインフレリスクを意識しながら老後の生活設計をおこなう必要があります。
今回は総務省が公表する「65歳以上・無職単身(おひとりさま)世帯」の、ひと月の家計収支データや、2025年度の年金額改定についても触れていきます。
働き盛りの現役世代のみなさんが、リタイア後の暮らしやお金まわりを考える際のヒントになればと思います。
1. 【65歳以上の無職世帯】おひとりさまの《標準的な家計収支》ひと月の生活費はいくら?
2025年3月11日に総務省統計局が公表した「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」をもとに、65歳以上の単身無職世帯のひと月の家計収支を見ていきましょう。
毎月の実収入:13万4116円
■うち社会保障給付(主に年金)12万1629円
毎月の支出:16万1933円
■うち消費支出:14万9286円
- 食料:4万2085円
- 住居:1万2693円
- 光熱・水道:1万4490円
- 家具・家事用品:6596円
- 被服及び履物:3385円
- 保健医療:8640円
- 交通・通信:1万4935円
- 教育:15円
- 教養娯楽:1万5492円
- その他の消費支出:3万0956円
- 諸雑費:1万3409円
- 交際費:1万6460円
- 仕送り金:1059円
■うち非消費支出:1万2647円
- 直接税:6585円
- 社会保険料:6001円
65歳以上《単身》無職世帯の家計の姿
- ひと月の赤字:2万7817円
- エンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合):28.2%
- 平均消費性向(可処分所得に対する消費支出の割合):122.9%
この単身世帯の場合、ひと月の収入は13万4116円で、その約9割(12万1629円)を主に公的年金が占めます。
一方で、支出の合計は16万1933円。そのうち社会保険料や税などの「非消費支出」が1万2647円、消費支出が14万9286円。エンゲル係数は28.2%、平均消費性向は122.9%となりました。
結果として、ひと月の家計収支は2万7817円の赤字となっています。