厚生労働省の資料によると2023年度末現在の老齢年金の平均月額は、国民年金が5万7584円、厚生年金(国民年金を含む)が14万6429円でした。

ただし、年金額は個人差があります。国民年金は月額1万円未満~7万円以上、厚生年金は月額1万円未満~30万円以上に受給権者が分布しており、個人差が大きいことがわかります。

公的年金だけで生活できている世帯、資産を取り崩しながら生活している世帯、さまざまあるでしょう。

本記事では70歳代二人以上世帯の「貯蓄額・年金額・生活費」を確認していきます。現代のシニア世代の暮らしぶりをのぞいていきましょう。

1. 【70歳代・二人以上世帯】現代シニアの平均貯蓄額はいくら?

まずは、金融経済教育推進機構(J-FREC)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」を参考に、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)を見ていきます。

※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

1.1 【70歳代・二人以上世帯】平均貯蓄額・中央値はいくら?

70歳代・二人以上世帯における貯蓄の平均額は約1923万円です。

ただし、この平均値は資産を多く保有する世帯の影響を受けやすいため、実際の状況を把握するには中央値に注目することが重要です。

中央値は800万円と、平均よりも大幅に低い数値となっています。

それでは、世帯ごとの貯蓄額の分布を詳しく見てみましょう。

  • 金融資産非保有:20.8%
  • 100万円未満:5.4%
  • 100~200万円未満:4.9%
  • 200~300万円未満:3.4%
  • 300~400万円未満:3.7%
  • 400~500万円未満:2.3%
  • 500~700万円未満:4.9%
  • 700~1000万円未満:6.4%
  • 1000~1500万円未満:10.2%
  • 1500~2000万円未満:6.6%
  • 2000~3000万円未満:8.9%
  • 3000万円以上:19.0%
  • 無回答:3.5%

70歳代・二人以上世帯のうち約19%が3000万円以上の貯蓄を保有している一方で、金融資産がまったくない「貯蓄ゼロ」の世帯も20.8%にのぼっています。

70歳代世帯の貯蓄額は、退職金の受け取り状況や相続の有無、健康状態、家族構成といったさまざまな要因によって個人差が大きくなります。

貯蓄が心もとない世帯では、年金に加えて、働いて得る収入や投資による収益などをどのように確保するかが重要な課題となるでしょう。

次に、厚生労働省が公表した最新の統計データをもとに、現役シニア層が実際に受け取っている公的年金(厚生年金・国民年金)の実態を見ていきます。