続いてご紹介するのは、小学6年生の女の子を持つMさん。彼女は開口一番、ため息交じりで呟きました。

「もう、制服にしてほしいです…」

なんでも、オシャレに目覚めたMさんの子供、毎日あーでもないこーでもない、とコーディネートに頭を悩ませているのだとか。

「購読している雑誌を熟読しては、ワードロープをひっぱりだしてきて、コーデを考えています。服は私が買ってきたのは気に入らないみたいで、『一緒に選ぶから勝手に買ってこないで』と言われちゃいました」

行き過ぎたオシャレに、たまに母娘間で派手なバトルが繰り広げられるのだとか。

「たとえばこの夏、娘が買ってほしいとおねだりしてきたのが胸元が結構広く開いたキャミソールでした。『絶対ダメ』というと『なんで?雑誌に載ってたのに』と食い下がる。

『そんな露出の高い服装で歩いていると、よくない気持ちを持った大人が寄ってくることもある。そう言って、かがんだときにどれだけ胸元があらわになるかを鏡で確認させたことも。あるときは、雑誌の付録についていたグロスを塗って登校しようとしたので、慌てて止めたこともあります」

高学年ともなるとオシャレに目覚める気持ちはよくわかる。クラスにファッションリーダー的な存在の子もいるし、可愛いもの、キレイなものを身にまといたい、オシャレしたい、って気持ちはよくわかるんです、とMさんは続けます。

「でも、親がしっかりと譲れない部分を持っていないといけないですよね。たとえば、学校にロングスカートで行ったり、キラキラしたカチューシャやリボンをつけて行こうとしたら注意します。

いつも『あなたが学校に行く本来の目的を忘れないこと。それを一番に頭に置いてオシャレを楽しみなさい』と伝えています。娘は『○○ちゃんは、マニキュアを塗って学校に行ってたのに』なんて不服そうですけどね」

TPOを教えるいいチャンス

流行りのもの、可愛いものを着たい、オシャレしたい、という気持ちが芽生えるのもある意味成長の証。この時期は「TPOをわきまえたファッション」を教える絶好のチャンスなのかもしれませんよ。

むやみに露出した服を着ると犯罪に巻き込まれる可能性があること、どうしてこの服はOKでこの服はNGか、ということをしっかりと説明してあげることが大事。しかし、子供の思いを尊重することと、子供の安全を守ることや学校の本来の目的を妨げないこと…この狭間で悩むママはますます増えそうな気がします。

大中 千景