2018年10月29日に行われた、弁護士ドットコム株式会社2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:弁護士ドットコム株式会社 代表取締役社長 内田陽介 氏
2019年3月期第2四半期決算説明会
内田陽介氏:弁護士ドットコムの内田でございます。本日は大変お忙しいところ、弊社の決算説明会に足をお運びいただきまして、誠にありがとうございます。
今期の弊社の目標といたしましては、「弁護士ドットコム」「税理士ドットコム」のような、既存事業の足元をしっかりと固めていくことです。(加えて)「クラウドサイン」に大きな投資をし、将来的に非常に大規模な事業に育てていくための戦略的な投資を行うといった1年にしていきます。
いわば、中長期的に当社が大きな飛躍を遂げられるよう、土台固めをしていく1年にしたいと考えております。足元では、その投資も非常に順調に進んでおりますし、投資に見合った成果も出てきていると確信を得ております。引き続き、ご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
経営理念・提供サービス
それではこれより、決算概要をお伝えしたいと思います。その前にあらためまして、弊社の経営理念、および提供しているサービスについて、簡単にご紹介したいと思います。弊社は「専門家をもっと身近に」という経営理念で会社を運営しております。
世界中の人々が専門家の知恵を、もっとうまく利活用できる……そんな世の中になれば、困っている方を1人でも減らせるのではないかと考えております。(そうした考えのもと)人々と専門家をつなぐポータルサイトである「弁護士ドットコム」「税理士ドットコム」「ビジネスロイヤーズ」というサイトを運営しております。
そして、この専門家の領域に対して、テクノロジーをかけ合わせていくことで新たなイノベーションを生み出す。そういった余地がまだあるのではないかと考えており、現在はWeb完結型のクラウド契約サービス「クラウドサイン」の育成に力を入れている状況でございます。
2019年3月期 第2四半期ハイライト
第2四半期の決算概要をご紹介したいと思います。まず最初に、第2四半期の決算概要の業績のご報告。次に売上・販管費。そして、営業利益の四半期推移のご紹介。最後に、各主力事業の進捗状況についてご説明いたします。
はじめに、第2四半期および上期のハイライトです。まず上期の業績面ですが、売上が14億2,800万円、営業利益・経常利益ともに2億4,400万円となりました。売上高・各利益ともに、上期に出しました予想を超えた着地となっております。
各事業のKPI……アクセス数や契約締結件数など、さまざまなKPIがございますが、いずれも順調に進捗しております。とくに「弁護士ドットコム」「クラウドサイン」では、良い数字が出てきております。後ほど個別に、最新の数字なども踏まえながら、ご紹介いたします。
2019年3月期 通期予想に対する進捗
予想に対する進捗の状況です。上期の予想に対しては、売上高・利益ともに予算を上回り、達成することができました。通期の予想に対しても、おおよそ進捗率が46パーセントから48パーセント程度ということで、達成に向けての歩みも順調と考えております。
2019年3月期 第2四半期 業績概要
第2四半期のP/Lの状況をご紹介いたします。第2四半期だけを切り取った売上の数字は、7億4,000万円。前年同期比で32.2パーセント増ということで、非常に順調に拡大してきております。
営業利益・経常利益については1億1,900万円です。こちらも、前期から事業を大きく育成していくために、計画的に投資を強化しているところであります。(両方とも)前年同期比で約1パーセント程度の減益となっております。
貸借対照表
貸借対照表ですが、着実に利益が積み上がってきております。純資産が前四半期末から7,300万円ほど増加している状況です。
売上高の四半期推移
売上高、販管費、営業利益のそれぞれの四半期推移についてご案内いたします。まずは売上高の四半期推移でございます。
今回の第2四半期も、全事業部門において増収を成し遂げることができました。すべてを積み重ねた全社の売上としても、引き続き、きれいな右肩上がりの増収を達成することができました。
各部門の中でも、とくに「広告その他サービス」の分野には、我々が力を入れている「クラウドサイン」の売上も含まれておりますが、こちらの進捗が非常に良い状況となっています。クラウドサインの売上の伸びが、この分野の売上の成長にかなり寄与しています。全社売上の中でも、この売上の伸びが少しずつ寄与してくれているかなという状態です。
販売費及び一般管理費の四半期推移
販管費の四半期推移をご紹介いたします。前期・後期と計画的な投資を行っておりますので、だんだん販管費も増えてきている状況です。むしろ、今回の第2四半期の販管費は伸びてはいるのですが、どちらかと言うと、第1四半期にうまく採用が進まなかったりして、もう少し(費用を)使いたかったというところがあります。
(そのように)少し投資が遅れ気味でしたが、第2四半期は人材採用が進んだり、クラウドサインでもともと計画していた広告宣伝が使えたり、代理店のみなさまにお支払いしている販売手数料などが増加してきております。(つまり、)事業を成長させていくために必要な投資、計画に沿った投資ができた第2四半期でした。
営業利益の四半期推移
営業利益、および営業利益率の四半期推移です。こちらも、おおよそ予定どおりの着地となりました。売上が順調だった
月間サイト訪問者数の推移
「弁護士ドットコム」「クラウドサイン」「税理士ドットコム」、そして最後に「ビジネスロイヤーズ」の順に、各主力事業の進捗状況をご報告いたします。
まずは、弁護士ドットコム事業から、「弁護士ドットコム」の月間サイト訪問者数です。こちらは第1四半期も非常に良いアクセス数、サイト訪問者数でしたが、第2四半期も引き続きアクセス数がとても良い状態となりました。直近の9月、月間サイト訪問者数は過去最高のアクセス数となる1,417万人でした。
「弁護士ドットコム」にご登録いただいている弁護士の先生の数も増えています。そして、先生方に無料で法律相談ができる「みんなの法律相談」という掲示板の数も着実に増えてきております。
コンテンツの充実化がしっかりと図られていることに加えて、さまざまな法律トラブルに遭った方々が、一体どういう行動を取ればいいのかがよりわかりやすくなる……ナビゲーション、ガイドとなるようなコンテンツを制作しております。そうしたサービスの利便性の向上などによっても、アクセス数の向上が図られております。
また、我々は「弁護士ドットコムニュース」というサービスも提供しております。こちらは、月によってヒット記事が出るか出ないかというところで、アクセスにだいぶ波が出るような状況です。しかし、この第1四半期、第2四半期に関しては、比較的安定して、毎月高い水準のアクセス数を出すことができたところも、全体のアクセス数の好調の要因となっております。
有料会員数の推移(個人)
個人の有料会員数の推移でございます。有料会員は、毎月300円をお支払いいただくことで、法律相談の掲示板である「みんなの法律相談」において、すべての弁護士からの回答が閲覧可能となります。
こちらの法律相談の累計回答件数が、今までで72万件と非常に膨大な件数になっております。これらをご覧になれる有料会員の方々が、足元では15万人を突破してきており、非常に順調に増加しております。
登録弁護士数の推移
「弁護士ドットコム」にご登録いただいております登録弁護士数の推移です。登録弁護士数も順調に伸びてきており、9月末の時点で1万5,435名となっております。現在、国内の弁護士の先生方は4万名程度いらっしゃるのですが、その約40パーセント近い先生方にご登録いただける状態にまでなってまいりました。
有料登録弁護士数の推移
その中で、有料でご登録いただいている先生方の数ですが、第1四半期から192名増加しており、直近で4,117名となりました。国内弁護士4万名のうち、10パーセント以上の方々にご利用いただけるサービスまで成長してきております。期初の計画では、年間の純増件数がだいたい600名程度と申し上げていますが、そのペースどおりに進捗している状況です。
弁護士向けサービスにおける今後の展開
我々が、弁護士の先生方向けに提供しているサービスはさまざまなものがあり、今後の展開について簡単に触れておきたいと思います。今から5年前の2013年8月に、弁護士マーケティング支援サービスをリリースしまして、この5年間で4,000名もの方々に使っていただけるようなサービスになっております。
まだまだその数を増やしていけると思っておりますが、集客支援だけではなく、先生方のお役に立てる業務として、情報の提供や業務支援など、さまざまなものがあると考えております。
これまでも月刊誌の提供など、いくつかサービスを出してきました。今後は、そうした分野にも新しいサービスを提供していき、登録いただく先生方に対する付加価値をさらに高めていきたいと考えております。
(例えば)情報提供の分野で、具体的なイメージをお話しします。弁護士の先生方に向けたコミュニティサービスといったものを作っていきたいと思っています。また弁護士の先生方は、毎月非常に多くの法律書籍を買われますので、その書籍のレビューサービスなどもぜひ展開してみたいと考えています。
業務支援の分野では、先生方が業務をより効率的に進められるような……例えば案件を管理するようなツールも、もしかしたら開発できるかなと思っています。また、判例のデータベースサービスといったところも、弁護士の先生方からは非常にニーズの高い分野ですので、いつかチャレンジしてみたいと考えております。
弁護士向けコミュニティについて
この第2四半期で、弁護士向けのコミュニティサービスをリリースしていますので、少しご紹介いたします。
こちら(のスライドは)、弁護士コミュニティサービスの画面で、「弁護士ドットコム」に登録されている先生方のみ閲覧することができるマイページというものがあります。その中で会員登録されている先生方に向けて、付加価値を上げていくために、第1四半期から弁護士の先生方が興味を持ちそうな、法曹関連に特化したニュースの配信といったことを毎日行っておりました。
今回、第2四半期で、そのニュースに対して先生方がさまざまなコメントをつけて、自分たちの意見を交換できる機能をつけたり、また先生方ご自身が新たなスレッドを立ち上げて、自由に議論を戦わせる、意見交換する、情報収集する、そして懇親を図っていくといったことができる機能の提供を開始しております。
今後も、登録いただいている先生方にとって、より付加価値の高いサービスを次々と出していき、さらに多くの先生方にご利用いただけるサービスに仕上げていきたいと考えております。
クラウドサインの概要
「クラウドサイン」をご紹介いたします。「クラウドサイン」は、従来の紙の契約書の不便さを、さまざまな点で解消していくWeb完結型のクラウドサービスとして、3年前にリリースいたしました。
従来の紙の契約書に比べて、契約締結のスピードが圧倒的に早いというところで、業務の生産性が上がったり、紙代・インク代・郵送代・印紙代といったコストがかからないため、大幅にコスト削減ができます。また、契約書の改ざんリスクや紛失リスクも減らしていける、コンプライアンス面でも現代に合ったサービスです。現在、多くの方々にご利用いただける状態となっております。
導入企業数の推移
「クラウドサイン」の一番重要な数字でもあります、導入企業数の推移です。この第2四半期末で、導入企業数が2万9,413社となりました。先日、3万社を突破し、導入企業数は日に日に加速している状況です。本サービスは、先ほど申し上げたように、リリースしてから3周年という状況ですが、導入企業数が1万社に到達するまでに、スタートしてから2年かかりました。そして、この1年で1万社から3万社まで増加しております。
この「クラウドサイン」のサービスの利便性が非常に高い、というご評価を受けて導入いただいていることももちろんですが、多くの方が使えば使うほどネットワーク効果が働きます。(例えば)AさんがBさんに契約書を送ることで、Bさんが「クラウドサイン」の存在を知って、これは非常に便利だということで、また新たなユーザーになっていくというようなネットワーク効果がだいぶ効いてきているという実感があります。
こちら(スライドの右側)にあるグラフですが、電子契約マーケットの業界シェアについて、先日発表された資料を抜粋させていただきました。8月末の時点で「クラウドサイン」の業界シェアが80パーセント超と発表されておりました。
しかし、まだまだこの電子契約市場は、日本においては非常に小さいものです。これから一気に拡大していくマーケットになると確信しておりますので、こうした大きなマーケットシェアを引き続き取りながら事業を拡大していけるように、サービスの進展を図り、良い投資をしていきたいと考えております。
契約締結件数の推移
契約の締結件数の推移です。前回の第1四半期までは、累計の契約締結件数のグラフを表示していたのですが、四半期ごとの動きがよりわかりやすいように、各四半期での契約締結件数のグラフに変更しております。今回の第2四半期では、8万6,262件の契約が締結されております。
過去のトレンドを見ても、第3、第4四半期で契約締結件数がかなり伸びる傾向があり、足元の契約締結件数もだいぶ伸びてきております。今後、第3、第4四半期はかなりの伸びが期待できるのではないかと確信しております。
規制緩和による電子契約マーケットの拡大
先日、この電子契約マーケットの拡大を一部後押ししてくれるようなニュースが、日経新聞で報道されておりました。2019年4月から、労働条件通知書の電磁的方法による提供が認められるというものです。
これまでは労働基準法にて、労働条件通知書は書面で交付するという義務がありました。しかし今後は、2019年4月から、すべて電子化が解禁されることとなりました。
これで採用から入社まで、一連の作業がすべて電子化され、完了することが可能となりました。人事や労務といった分野においても、今後こういった電子契約が一層進むのではないかと考えております。
今後も、生産性革命、働き方改革といった政府のさまざまな方針のもと、いろいろな規制緩和が想定されますので、世の中の動きの一歩先を担えるようなサービスになれるよう、投資を続けてまいりたいと思います。
この「クラウドサイン」ですが、順調に成長しております。しかし、まだまだ認知度でいうと十分な状態ではありません。そこで今期から、広告宣伝というところで……もともと予算を置いておりますが、さらに多くの人に「クラウドサイン」を知ってもらうために、この10月からタクシーの動画広告をスタートしました。
タクシーに乗る方は、企業の経営者や(組織内で)権限を持たれている、意思決定者の方々が多いため、そういった方々を対象として動画広告を開始しました。今日はせっかくですので、どういう広告なのか、皆さまにも見ていただきたいと思います。
(映像が流れる)
こちらの動画広告の中では「2.5万社」と書かれていましたが、すでに3万社を突破しております。そういったところからも、「クラウドサイン」の成長の速さがわかっていただけるかと思います。
今後タクシーに乗った際に、(この動画広告を)目にする機会もあるかと思いますので、ぜひ一度ご覧になっていただけると嬉しいなと思います。これからも、マーケットの環境やサービスの状況といったところを勘案して、適切な広告の配信を行っていきたいと考えております。
税理士ドットコムについて
「税理士ドットコム」は、「弁護士ドットコム」の弟分のようなサイトです。「弁護士ドットコム」の税理士版と考えていただけるとわかりやすいですが、日本最大級の税務相談ポータルサイトです。
ユーザーのみなさんは、登録税理士に対して無料で税務相談ができたり、自分のニーズに合致した税理士を紹介してもらえたり、自分自身でも税理士を検索できるといったサービスです。
「税理士ドットコム」も、メディアの育成が進んでおり、そこに合わせて売上の拡大も順調に進んでいます。この第2四半期では、売上が6,800万円でした。成長率でいうと、前年同期比で73.3%増加ということになっています。
これから第3、第4四半期は、確定申告のシーズンなどもありますので、アクセス数などがかなり伸びてくる時期がやってきます。今後は「弁護士ドットコム」と同様、かなり堅調な事業として、しっかりとした成長が期待される事業です。
ビジネスロイヤーズについて
最後に「ビジネスロイヤーズ」をご紹介します。「ビジネスロイヤーズ」は、日本最大級の企業法務ポータルサイトです。企業法務の第一線で活躍されている弁護士の先生方に多く登録いただいております。
最新の法改正や判例に対する解説をしていただくなど、さまざまな事案や実務に関する記事を執筆してもらっています。そういった先生方に記事を書いていただいていることもあり、非常に高品質なサイトで、実務に役立つと好評をいただいております。
こちらのサイト訪問者数についてです。9月末時点では、47万人となっております。毎年、株主総会が行われる6月にアクセスがピークを迎えるという構造があります。一旦アクセス数は落ちているのですが、サイトの育成自体は順調に進んでおります。
非常に多くの記事が書かれているのですが、ユーザーさんは会員になって初めて最後まで読めるという記事も数多くあります。その会員数が1万名を超えて、現在は1万1,960名と順調に増加を続けています。
こちらのビジネス展開ですが、サイトの規模がそこそこ(大きなもの)になってきていますので、サイト上での広告を展開したり、有料のセミナーも打ち出すなど、事業の収益化も徐々にはじまりつつあります。
引き続き、サイトのコンテンツを拡充していき、会員数も増やしていくことで、次の事業の柱となれるように、しっかり育てていきたいと考えております。
最後に、いつも説明させていただいている、今後の成長イメージについてです。既存サービスをしっかりと固めながら、「クラウドサイン」のようなリーガルテックのサービスにしっかり投資して、中長期的に大きな成長をつかむ……そういった成長イメージです。
足元の「クラウドサイン」の成長の伸びというのが、当初、我々がイメージしていた成長スピードよりもだいぶ速いということもあり、この成長イメージ実現の確度も、だいぶ増してきているのではないかなと感じております。
以上で、第2四半期の決算説明とさせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。