5. 【老齢年金】厚生年金と国民年金「2025年度はいくらになる?」

公的年金の金額は、現役世代の賃金や物価を踏まえ、毎年度改定されます。2025年1月24日、厚生労働省は2025年度分の年金額を、前年度より1.9%の引き上げると公表しています。

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分※1)
  • 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※2)

ただし上記はあくまでも「年金例」です。実際に支給される年金額は、現役時代の年金加入状況により世帯差・個人差が出ます。

1.9%の引き上げにはなりましたが、マクロ経済スライド(※3)の発動により、実質的には目減りしている点には留意が必要です。

※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(対前年度比+1300円)です。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
※3 「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ

6. 現代のシニア世代は「年金ではゆとりがない」と感じている

6.1 シニア世代の約3割が「年金だけでは日常生活費もカバーできない」現実

金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024」によると、60歳代世帯の約33%、70歳代世帯のおよそ31%が、「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と感じていることが明らかになりました。

「年金にゆとりがない」と感じる理由とは?

「年金にゆとりがない」と感じる理由とは?

出所:金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成

また、年金生活に不安を抱く主な理由としては、「物価上昇等により費用が増えていくとみているから」が最多で、60歳代の63.3%、70歳代では62.8%が該当しています。

加えて、「高齢者への医療費の個人負担が増えるとみているから」と答えた人は60歳代で28.3%、70歳代で34.8%。「高齢者への介護費の個人負担が増えるとみているから」と、介護費用の増加を懸念している人も60歳代で18.1%、70歳代で26.4%と、健康や介護をめぐる支出への警戒も高まっています。

日々上がり続ける物価に加えて、将来の医療・介護リスクが家計に重くのしかかる中、多くのシニア世帯が、見えない将来への不安を抱えながら生活しているのが現状です。

次章では、今のシニア世代の「実際の年金額」データを見ていきます。