2025年4月9日、内閣府より「家計可処分所得・家計貯蓄率四半期別速報(参考系列)」が発表されました。

2024年10-12月期の可処分所得・貯蓄率ともに7‐9月期から減少。最終家計消費支出が増加していることからも、昨今の物価上昇が家計に与えるダメージは甚大であることがわかります。

2025年は前年を上回るペースの値上げが予想されており、貯蓄が難しい状況が続きますが、現役世代の人たちは老後資金の準備も進めていく必要があります。

老後は、終身で受け取れる公的年金がありますが、国民年金や厚生年金だけで生活することは容易ではないからです。

しかし、なかには月額30万円以上もの年金を受給する人もいるようです。額面ではありますが、月額で30万円もの収入があれば最低限の生活は維持できるかもしれません。

では、いまのシニア世代で年金月額30万円以上を受給する人はどのくらいいるのでしょうか。厚生労働省の資料をもとに確認していきます。

※本記事でご紹介する厚生年金受給額は、全て国民年金(基礎年金)が含まれます。

1. 日本の公的年金(国民年金・厚生年金)の仕組みをおさらい

日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。

日本の年金制度のしくみ

日本の年金制度のしくみ

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

国民年金(1階部分):加入対象者・保険料・年金額の決定方法

国民年金は、基本的に日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する義務があります。

保険料は一律で、納付期間に応じて将来受け取ることができる老齢基礎年金の金額が決まります。

1.1 厚生年金(2階部分):加入対象者・保険料・年金額の決定方法

厚生年金は、公務員やサラリーマンなどが加入する制度で、収入に応じた保険料を支払います(上限あり)。

加入期間や納付額に基づいて、将来受け取ることができる老齢厚生年金の額が決まります。

先ほど、年金月額30万円以上を受給する人がいるとお伝えしました。しかし、現役時代に厚生年金保険に一度も加入したことがない人は、年金月額30万円以上を受け取ることは現行制度では不可能といっていいでしょう。

では、厚生年金に加入している人の中で、受給額が「30万円以上」の人はどれくらいいるのでしょうか。