9月に入っても、まだまだ暑さが続いています。今年も残すところ4か月となりました。物価高が家計に重くのしかかるなか、暮らしに直結するお金の知識は誰もが知っておきたいテーマではないでしょうか。今回は、住民税が非課税となる世帯について、基本的なしくみなど解説します。近年では物価高騰に対応するための給付金などが実施され、住民税非課税世帯がその対象とされてきました。「住民税非課税世帯とはどんな世帯なのか?給与や年金収入の基準はどのくらいなのか?」などくわしくみていきましょう。
1. 【住民税非課税】3つの要件と「級地区分」
住民税の仕組みにも触れながら、住民税非課税世帯となる要件などを整理していきましょう。
1.1 住民税の基本をおさらい
住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に支払う地方税で、その地域の公共サービスやインフラ整備の財源となっています。
個人住民税は、所得割(※1)と均等割(※2)の合計です。
※1 所得に応じて税額が決まる部分
※2 所得に関係なく一律課税となる部分
均等割・所得割ともに免除になることを「住民税非課税」と言います。「住民税非課税世帯」は、世帯全員が住民税非課税となる世帯を指します。
1.2 非課税となる3つの要件と「級地区分」
住民税が非課税となる要件は、以下のいずれかに該当した場合です。
- 生活保護を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
- 前年の所得が各市町村の基準を下回る
1と2の要件は全ての市区町村で共通となっています。
一方で、3の所得要件は市区町村ごとに異なる基準があります。これは、生活保護法に基づく級地区分という制度が関係しています。級地区分は、地域の物価や生活水準の差を考慮して定められており、物価の高い1級地では所得基準額が高く設定され、物価の低い3級地では基準額が低く設定されます。
同じ年収の世帯でも、住んでいる地域の級地区分や世帯構成によって、住民税非課税世帯に該当するかどうかが異なる場合があります。
次章では、この地域差の具体例として札幌市を挙げて、具体的な基準を見ていきましょう。