4. 「住民税非課税世帯」にはシニア世代が多いって本当?
厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」を見てみると、
- 60歳代:78.3%
- 70歳代:64.1%
- 80歳代:47.5%
と、年代が上がるごとに、住民税が「課税される世帯」の割合は下がっていきます。老齢年金世帯は「住民税非課税世帯」となりやすいと言えるでしょう。
要因としては、現役時代よりも収入が減って住民税の課税基準を下回ることが多いからと考えられます。
また、遺族年金が非課税であることや、老齢年金には各種控除枠が大きく設けられていて課税対象となる所得が減少することも、要因の1つでしょう。
ただし、住民税非課税の判定の基準はあくまでも「収入」。
預貯金をたくさん持っているお金持ちシニアでも、年金収入が基準額以下で住民税非課税となる場合は、今回の給付金の支給対象に含まれることになります。
住民税非課税世帯に該当する世帯について見てきましたが、ここで注意したいのは、住民税非課税世帯は高齢者だけではなく、幅広い年齢層が含まれるという点です。
また、住民税非課税世帯が受けられる支援は、今回のような一時的な給付金だけではなく、多岐にわたります。下記のような公的な優遇措置についてもチェックしておくとよいですね。
- 国民健康保険料(応益割)の減額
- 介護保険料の減額
- 国民年金保険料の免除・納付猶予
- 幼児教育・保育の無償化
- 高等教育の修学支援新制度
これらの支援措置を活用することで、生活費の負担を軽減することができるでしょう。
5. まとめにかえて
物価が高い今の時代、自分の暮らしを守るために何ができるかを考えることが大切です。
住民税非課税世帯への3万円給付はありがたい存在ですが、それに頼り切るのではなく、自分自身で備えることも欠かせません。
支出を見直したり将来を見据えた資金計画を立てたりと、少しずつでも今できることに取り組んでおくことが、将来の安心につながっていくはずです。
参考資料
- 内閣府特命担当大臣「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~政策ファイル(2024年11月)
- 総務省「個人住民税」
- 栃木県真岡市「住民税が非課税となる方(市民税・県民税が課税されない方)」
- 厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」
- 日本年金機構「年金Q&A(年金の受給)」
長井 祐人