株式相場の下落や円高傾向などを受けて3日続落
2018年10月5日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より191円90銭安の23,783円72銭となりました。先週2日には終値で24,270円62銭となるなど、連日でおよそ27年ぶりの高値を付けました。
しかし、その後は米株式相場の下落や円相場が円高方向に振れたことなどを受けて、3日続落となっています。東京市場が3連休を控えていることや、日本時間5日夜の9月米雇用統計を見極めたいと手じまい売りの動きもありました。
今週以降の動きはどうなるでしょうか。一つ警戒感が高まっているのは、米金利の上昇です。3日のニューヨーク債券市場で、米長期金利の指標である米10年物国債利回りが3.18%に上昇。さらに、5日には一時3.24%まで上昇し、2011年5月以来、約7年5か月ぶりの高水準となりました。
金利が上昇すると足元で強気な上昇を続けている米国株の下落要因になります。また、新興国では投資家の資金が先進国へ流出することになります。
5日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が続落しました。朝方に発表された9月の雇用統計は失業率が低下するなど良好な内容でしたが、そのためにむしろ今後の長期金利の上昇につながると見られ、株価には逆風となりました。
こうした状況は、日本株にどのように影響するでしょうか。米株の下落、円高などは、相場環境としてはよいとは言えません。その一方で、「有事の際の日本」というわけではないですが、米国や新興国に比べれば、比較的に安心感があるのも事実。
特に日本企業の業績が好調なことに加えて、米中、日米の貿易摩擦のリスクがいったん後退していることから、業績のよい個別銘柄は積極的に物色されることになるのではないでしょうか。
日経平均はこの2か月ほどの間に約2000円も上昇しました。先週は短期的な過熱感からの上昇一服といったところでしょう。今週、2万4000円台を回復できれば、さらに一段上のステージに上昇することも期待されます。
急ピッチでの上昇の反動から調整局面にあるが下値は限定的か
先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。9月の上旬からずっと5日移動平均線に下値を支えられるように上昇してきました。3日には一時割り込みましたが、引けにかけてはまた5日線を回復。ここから反発するようであれば押し目買いの好機となるところでしたが、翌日には長い陰線となって下落し、ローソク足の実体で5日線を割り込んでしまいました。
今週以降の動きはどうなるでしょうか。チャートの形からは大きく2つの選択肢が考えられます。一つは、5日線に上値を押さえられ、下落していくパターンです。もう一つはこのあたりから再び反発するパターンです。
一つ明るい兆しがあるとすれば、5日のローソク足の形です。窓をあけて下落して始まりましたが、一時はその窓を埋める上昇の動きがありました。結局引けでは寄り付き付近まで戻り十字線のような形になりました。これは投資家の間に迷いがあることを示します。
つまり、いったんは陰線が続いたものの、そこまで下落のパワーが大きくなく、むしろ押しを入れるとそれを拾う動きがあるということです。
今週の動きを判断するにあたっては、まず2万4000円台を回復できるかが大きなポイントになります。さらに5日線も回復できるようであれば目線を上に持ち積極的に買いに回っていいでしょう。
逆にここまで2か月ほどの間、急上昇を続けてきたことからしばらく調整が続くかもしれません。その場合の下値めどは、9月18日と19日の窓埋めとなる23,481円となります。このあたりは25日移動平均線とも重なります。
下原 一晃