仕事選びをするとき、やりがいとともに給料や年間給料である年収はもっとも重要な要素のうちの一つでしょう。給料は会社によっても職位によっても異なるものですが、お金の話は仕事でも友人や知人に直接は聞きにくい内容でもあります。シリーズでお伝えしている「職業別年収給与給料」では、厚生労働省の「平成29年賃金構造基本統計調査」をもとに算出した職業別給料についてみていきます。今回は化学分析員(男女計)の給料についてです。

化学分析員とはどのような仕事か

化学分析員とは、厚生労働省の「職業分類表」では、「化学品開発技術者」との定義の中で、「工業用化学製品・化学肥料・油脂製品(食用製品を除く)・塗料・医薬品・火薬・香料・化粧品・石油製品・ゴム製品・プラスチック製品・化学繊維などの開発に関する技術的な仕事に従事するものをいう」とされています。また、「化学製品検査工」との定義の中で、「化学薬品・化学繊維・石けん(鹸)・洗剤・加工油脂製品(食用油脂を除く)・医薬品・化粧品などの製造工程において、目視により、または測定機器・検査装置などを用いて、製品の品質・寸法・外観・数量・耐性などを検査する作業に従事するものをいう」とされています。

化学分析員の給料水準とは

化学分析員の給料水準はどの程度なのでしょうか。

厚労省のデータをもとにし、企業規模別の労働者数で加重平均した年間給与は499.0万円です。また、企業規模に応じた年間給与は以下の通りです。

  • 1000人以上:562.5万円
  • 100-999人:475.0万円
  • 10-99人:435.7万円

1000人以上の企業規模は500万円台、100-999人と10-99人の企業規模は400万円台の年間給与となっています。

企業規模ごとの年齢と勤務年数

では、年齢についてはどうでしょうか。企業規模別の労働者数で加重平均した年齢は39.2歳、勤務年数は12.0年となっています。また、企業規模別年齢と勤務年数(カッコ内)は以下の通りです。

  • 1000人以上:39.4歳(13.7年)
  • 100-999人:38.8歳(11.2年)
  • 10-99人:39.9歳(10.5年)

いずれの企業規模でも年齢は30歳代です。なお、勤務年数が最も長くなっているのが企業規模が1000人以上のケースで、13年を超えています。

職業を選択する際の材料に

職業を選ぶ際には、勤務地や労働環境はどうかといった要素なども重要な判断要素となるでしょう。待遇は職場ごとに異なることもありますが、今回の厚生労働省の調査結果での年間給与を仕事選びの一つの材料としてみてもよいのではないでしょうか。

ちなみに国税庁の「平成28年分『民間給与実態調査』」によれば、給与所得者(1年を通じて勤務した給与所得者)の平均給与は421.6万円となっています。内訳をみると男性が521.1万円、女性が279.7万円。男女計の平均年齢が46.0歳、男性の平均年齢が45.9歳、女性が46.1歳となっています。

【ご参考】職業別年間給与の算出方法

今回の職業別年間給与は厚生労働省「平成29年賃金構造基本統計調査」をもとに算出をしています。同調査の本概況については、10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所の客体(6万6260事業所)のうち、有効回答のあった事業所(4万9541事業所)についての集計内容となっています。

また、調査の時期は平成29年6月分の賃金等(賞与、期末手当等特別給与額については平成28年1年間)について平成29年7月に行われたものです。職業別年間給与については、上記の「きまって支給する現金給与額」が12か月あったと仮定し、それに年間賞与その他特別給与額を足し合わせたものとして算出しています。

【補足】記事内で言及した用語解説

以下、当記事内で使用した用語について簡単に補足しておきます。

「常用労働者」とは、次のいずれかに該当する労働者をいいます。「期間を定めずに雇われている労働者」、「1か月を超える期間を定めて雇われている労働者」、または「日々又は1か月以内の期間を定めて雇われている労働者のうち、4月及び5月に、それぞれ18日以上雇われた労働者」

「企業規模」で「常用労働者」が1000人以上を「大企業」、100-999人を「中企業」、10-99人を「小企業」として区分しています。

「きまって支給する現金給与」は「所定内給与」に加えて時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日出勤手当、宿日直手当、交替手当が含まれています。

LIMO編集部