「年収の壁」が、現状の130万円から160万円に引き上げになる可能性が高まっています。

最低賃金が引き上げられると同時に、同じ時間働いても年収の壁を超えるようになってしまうことから、年収の壁は現状に即していないことが指摘されてきていました。

特に女性の働き方をめぐり議論されていますが、なぜ女性は働く上で年収の壁を意識することが多いのでしょうか。

そこで今回は、20~70代の平均年収や男女比の現状をもとに、なぜ働き控えが起きてしまうのかを探っていきましょう。

1. 【20~70歳代】平均年収はどれぐらいか

国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」から、20〜70歳代の平均年収を見ていきましょう。

上記調査より、男女別の各年代の平均年収をみてみると、男性は年代が上がるにつれて年収が上がっていくのですが、一方で女性は横ばいから緩やかに減少するとがわかります(【図表1】参照)。

【全5枚】年齢階層別・平均給与や女性の雇用形態、後半では年収の壁についてわかりやすく図解

年齢階層別・平均給与

出所:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」

男性の場合は、50歳代まで平均年収は上がり続け、55〜59歳でピークである「712万円」となります。社会に出てから安定的に増えるというのが特徴でしょう。

一方、女性の場合は、20歳代後半から50歳代まで平均年収が300万円台前半と横ばいな状態が続いており、最も高い平均年収でも25〜29歳で「353万円」となっています。

また、男性の場合は日本全体の平均年収に到達する人が、比較的若い世代でも多い傾向にありますが、女性の場合はハードルが高い現状がみてとれます。