2.2 自治体ごとに基準額が異なるから
介護保険料には前述のように基準額がありますが、実際に徴収される保険料は自治体ごとに異なります。たとえば、東京都の平均保険料は6320円ですが、北海道の平均保険料は5738円、新潟県では6412円、大阪府では7486円です。
都道府県の違いに加えて、市区町村でも保険料には差があります。比較的保険料が高い自治体に住んでいる人は、ほかの自治体に住む親族や友人に比べると「保険料が高い」と感じやすいのです。
市区町村ごとの保険料については、後ほど詳しく解説します。
2.3 高齢化によりサービス利用者が増えているから
介護保険料は高齢化による現役世代の介護負担を緩和するために設立されましたが、現在も高齢化は続いており、サービス利用者が増加しています。
厚生労働省の「令和4年度 介護保険事業状況報告」によれば、要介護(要支援)認定者は2000年度時点では256万2000人でしたが、2022年度には694万4000人と、約2.7倍に増えています。
最新の人口推計では、65歳以上の高齢者は3624万3000人と、日本国民1億2377万人の約3割を占めています。今後も高齢者が増加すればサービス利用者が増えて給付額が多くなるため、保険料はさらに高くなるでしょう。
2.4 介護報酬を引き上げたから
介護報酬の引き上げも、保険料の増加につながっていると考えられます。介護報酬は、介護サービス事業者に支払われるものです。被保険者が1割、保険者である自治体が残り9割を負担します。
2024年度の介護報酬は、以下のように引き上げとなりました。
介護報酬:1.59%
・介護職員の処遇改善:0.98%
・介護職員以外の職員の処遇改善:0.61%
職員の報酬が増える分、保険料負担も増える仕組みとなっています。とはいえ、介護職員の報酬アップは、今後の介護サービス運営において欠かせません。現状の仕組みの見直しが求められるでしょう。
次章では、介護保険料の高い自治体と低い自治体を紹介します。