6. シニアの年金世帯は「住民税非課税世帯」になりやすい?

住民税非課税となるボーダーラインは、収入の種類、扶養親族の数、年齢などにより大きく変わることが分かりました。また、65歳以上の年金収入のみの世帯では、非課税となるボーダーラインが高めとなっています。

一般的には現役時代よりも収入が下がること、遺族年金が非課税であること、さらに65歳以上は公的年金の最低控除枠が多くなっていることなどからも、シニアの年金世帯は「住民税非課税世帯」に当てはまりやすいと言えるでしょう。

その裏付けとして、厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」から、年齢別の住民税課税状況も見てみます。

住民税課税世帯の年代別割合

【一覧表】住民税課税世帯の年代別割合

出所:厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」をもとにLIMO編集部作成

住民税が課税される世帯の割合は、30~50歳代では約90%でしたが、60歳代78.3%→70歳代64.1%→80歳代47.5%と、年代とともに下がっていきます。ここでも、シニア世代は住民税非課税世帯となりやすいと推測できます。

今回の給付金の対象にも多くのシニア世帯が含まれているでしょう。国や自治体などから、給付金に便乗した「振り込め詐欺」や「個人情報の詐取」注意喚起も多く出ています。

区や自治体(の職員など)が、ATMの操作を依頼すること、金融機関口座の暗証番号を尋ねること、給付金支給のために手数料の振込を求めることは絶対にありません。

不審な電話、郵便物、メール、訪問者などがあった場合は、市区町村や最寄りの警察署、または警察相談専用電話(#9110)に連絡しましょう。

7. 将来に向けて今から計画的な資産形成を

本記事では、政府が実施している低所得者世帯への支援策について解説しました。

また、その対象となる住民税非課税世帯とはどのような世帯を指すのか、要件や収入の目安を確認しました。

住民税非課税世帯を年代別にみると、高齢者の住民税非課税世帯の割合が高いことがわかります。

その主な理由として考えられるのが下記2点です。

  • 老齢年金受給世代は、住民税が非課税となるボーダーラインが給与所得者よりも高いため、住民税非課税世帯に該当しやすい
  • 老齢年金の受給額が少ない

現役時代よりも収入が減少する老後の生活については、現役時代のうちからしっかりと考えておく必要があるでしょう。

金融庁も老後に向けた自助努力を推奨しており、NISAやiDecoなどの税制優遇を受けられる制度の活用を推進しています。

自分には老後どれくらいのお金が必要か、そのお金を準備するには毎月いくら貯蓄していけば良いかを把握して、今のうちから計画的に資産形成に取り組みましょう。

参考資料

橋本 優理