米中貿易摩擦など悪材料の出尽くしで買いが進む

2018年9月21日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より195円00銭高の23,869円93銭となりました。6日続伸です。

トランプ米政権は24日に、中国からの輸入品2000億ドル分に第3弾の制裁関税を発動するとしたものの、年内の上乗せ分は10%にとどまったことから、投資家の間ではむしろ悪材料は出尽くしたと捉えられ、心理が上向きました。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。米中の通商政策の行方は引き続き懸念されますが、第3弾の関税率を25%に引き上げるのは、11月の中間選挙後の2019年1月1日以降になる予定です。

むしろ気になるのは、日米間の貿易摩擦です。24日には日米の閣僚級の通商協議(FFR)が開かれます。また、26日には自民党総裁選で3選を果たしたばかりの安倍晋三首相とトランプ大統領の首脳会談も行われる予定です。

トランプ氏は米国の対日貿易赤字の削減を明言しています。日本側としてはなんとしても自動車への25%の追加関税を避けたいところです。どのような合意がなされるのか注目されます。

もう一つ注視されるのが為替相場の行方です。足元の日本株の好調は、ドル高・円安に支えられています。米中貿易摩擦への警戒感はあるものの、一方で、投資家の間には米ドル、米株を買う動きが広がっています。

21日のニューヨーク外国為替市場で円相場は続落し、1ドル=112円55~65銭で終えています。また、21日のダウ工業株30種平均は4日続伸し、連日で史上最高値を更新しました。日本株も連れ高となりそうですが、もちろん、自動車に対して大きな追加関税がかけられるとなると、日本株が売られることになります。

25~26日には米連邦準備理事会(FRB)の米連邦公開市場委員会(FOMC)も開かれます。市場では今回の利上げは織り込み済みとされますが、同時に発表される2019年以降の金融政策のシナリオも注目されるところです。

2万3000円台回復で、もう一段上のステージへ

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週に、これまで、5月21日(23,050円)、6月12日(23,011円)、7月18日(22,949円)、8月30日(23,032円)(いずれもザラバ高値)と、何度もトライしては跳ね返されてきた2万3000円台を突破しました。

一般的に、抜けるのにパワーがかかったレジスタンスラインは、抜けたあとにはサポートラインに変わります。先週はその確認ができるかどうかがポイントでした。

ふたを開けてみると、連休明け週初の18日は長い陽線となりました。その後も窓を開けて上昇。その窓を埋めることもなく、週末にかけてさらに伸び、下値サポートが確認できました。

今週以降のさらなる上昇にも期待がかかります。上値めどは、1月23日の高値(24,129円)で、ここは年初来高値にもあたります。21日にはザラバで23,971円まで上がっていますので、連休明けに年初来高値の更新があるかもしれません。

楽しみなのはその後で、このあたりを抜けると、実に1991年以来の高値になることです。まずは今週、年初来高値を更新できるかどうか見極めたいところです。

逆に、このあたりでは利益確定の売りも出てくるかもしれません。その場合でも、目先意識されやすい23,000円までは押し目買いの好機とみていいでしょう。足元の下値めどとしては、18日と19日の間の窓埋めとなる23,420円あたりになります。

下原 一晃