2024年も「値上げ」の1年でしたね。一方で、平均年収アップや賃上げなどの明るいニュースもありました。

公的年金についても、2024年度は前年度から2.7%増額となっています。しかし、物価上昇率を下回っており、実際に「年金が増えた」と実感できた人はそう多くないのではないでしょうか。

本記事では、老後対策を進めるにあたり把握しておきたい現在の年金額を、厚生労働省の資料をもとにご紹介していきます。

現シニア世代の年金受給額を確認し、将来おとずれる年金暮らしをイメージしてみてください。

1. 公的年金「国民年金・厚生年金」とは?

年金制度について複雑なイメージをお持ちの方は少なくないでしょう。

しかし、現役時代に加入する年金が「国民年金のみ」か「国民年金+厚生年金」かによって、老後に受給できる年金額が大きく異なります。簡単に、公的年金制度がどのようなしくみかを確認しておきましょう。

下の図をご覧ください。

【写真全10枚中1枚目】厚生年金と国民年金の仕組み、2枚目から年金一覧表&年金生活者支援給付金についてチェック!

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

日本の公的年金制度のベースには国民年金があり、その上に厚生年金があります。

このような構造上、「2階建て」といわれています。

公的年金といえば、老後に支給される「老齢年金」を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、病気やケガなどで日常生活や仕事が制限される場合には「障害年金」、生計を維持していた配偶者や両親が亡くなった時には「遺族年金」が支給されます。

本記事では「老齢年金」をテーマとしているため、以降、老齢年金に絞って解説していきます。

1.1 国民年金(1階部分):加入対象者・保険料・年金額

国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が原則として加入対象となります。

20歳になると、学生であっても、無職であっても、国民年金に加入します。

国民年金保険料は毎年度見直しはありますが全員一律です。ご参考までに、2024年度は月額1万6980円となっています。

全期間(40年間)保険料を納付した場合、老後、満額の年金が支給されます。未納や免除の期間があった場合には、満額から減額されるしくみです。

1.2 厚生年金(2階部分):加入対象者・保険料・年金額

厚生年金は、会社員や公務員、特定の事業所で一定の要件を満たして働くパート・アルバイト従業員が対象で、20歳以上60歳未満の期間、国民年金に上乗せして加入します。

※60歳以上も厚生年金に加入して働く場合、国民年金(老齢基礎年金)の受給資格を満たしていない人や、保険料納付月数が少なく満額の老齢基礎年金を受給できない人は、65歳になるまで国民年金に任意加入できます。

厚生年金保険料は収入に応じて算出され(上限あり)企業と折半して負担。国民年金の保険料は、加入する厚生年金保険制度にて負担されるため、別途納付する必要はありません。

老後に受給する年金額は「国民年金+厚生年金」で、厚生年金部分は保険料や加入期間により計算されます。

「年金だけでは生活できない」、「老後の年金は少ない」などの声がありますが、実際には個人差があるのです。

特に、現役時代の年収が年金額に大きく影響する厚生年金は個人差が大きいということを理解しておきましょう。

では、現在のシニア世代は実際に老齢年金を月額でどのくらい受け取っているのでしょうか。