日経平均は4日続伸:トルコリラ、米中貿易摩擦のリスクが後退

2018年8月24日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より190円95銭高の22,601円77銭となりました。4日続伸です。

23日には米政府が、160億ドル相当の中国輸入製品に関税を発動しました。しかし、米株などへの影響は小さく、むしろパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がジャクソンホールで行った講演で、利上げに慎重な姿勢を見せたことから米株が幅広く買われました。日本株もこの流れを受けるとともに、円安・ドル高傾向ということもあって、買いが広がりました。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。まず懸念されたトルコ問題について、「トルコショック」による売りは一服した印象があります。ただし投資家の中には依然として、トルコ政府やトルコ中央銀行の対応に対する不信感があり楽観はできません。

米中間の貿易摩擦は長期化が予想されます。両国は22日、23日の2日間、貿易問題をめぐる事務レベル協議を行いましたが目立った進展はありませんでした。一方で、大きな悪材料もなく、対話も継続される見込みであることから、当面、相場が急落するといった警戒感は薄れたと考えていいでしょう。

ただし、11月の米議会中間選挙を前にトランプ米大統領が新たに強硬的な施策を打ち出してくる可能性もあるので注意が必要です。

トルコショックの影響を受け、新興国通貨への不安からドル高が進んでいます。これにともない円安傾向が続くようであれば、日本企業の業績の上振れも期待できます。とはいえ、貿易摩擦など問題もあるため、個別企業のリスクを見ながら銘柄を物色する動きになりそうです。

イベントの多い9月を前に、今週は手探りの展開になるかもしれません。気になるのは、足元の商いが低調なことです。24日の東証1部の売買代金は概算で1兆7634億円でした。6営業日連続で2兆円を割り込んでいます。急な値動きに注意したいところですが、保ち合いから上放れへの動きになるようであれば積極的に付いていきたいところです。

主要な移動平均線をすべて回復、上放れに期待

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。大きな特徴は、収束していた5日線、25日線、75日線、200日線のすべての移動平均線を上抜けたことです。

24日には一時、22,602円を付け、終値はほぼ高値引けの22,601円となりました。22,500円付近は、25日線と75日線が重なるところです。また、7月下旬から「トルコショック」」直前の8月10日までの間、もみ合っていたレンジの下限であり抵抗線となるところです。ここを強い陽線で抜けてきました。これにより、今後はこのあたりが下値サポートラインに変わることが期待されます。

今週の動きとしては、まずは直近の戻り高値である8月8日の22,800円を超えられるかどうかに注目したいところです。ここを抜けると、上値めどは2万3000円台となりますが、これまで5月21日(23,050円)、6月12日(23,011円)、7月18日(22,949円)と、何度もトライしては跳ね返されてきました。

ただし、今回はこれまでよりも明るさがあります。というのも、現在は3月26日の安値(20,347円)と7月5日の安値(21,462円)の安値を結ぶ上昇トレンドラインが形成されており、8月13日の安値(21,851円)はこのラインでサポートされて下値を切り上げて上昇しているからです。

2万3000円台を抜けるとかなり視界が広がっており、その先は、1月23日の高値(24,129円)あたりまで目立った節がありません。一段上のステージに上がることが期待できます。

逆に下値めどとしては、収束している移動平均線を再度割り込む22,500円、足元の二番底の8月13日の安値(21,851円)あたりになります。

下原 一晃