総務省統計局が公表した「統計からみた我が国の高齢者―『敬老の日』にちなんで―」(統計トピックスNo.142)によると、2024年9月15日現在の総人口に占める65歳以上人口は3625万人で、総人口に占める割合は29.3%と過去最高を記録しました。また、65歳以上の就業者数についても20年連続で増加していています。
働くシニア世代が増える要因の1つとして、リタイア後の主な収入源となる公的年金が十分でないことが挙げられます。
働くことで公的年金以外の収入源を確保できますが、年齢を重ねるごとに健康面の問題が増えていくかもしれません。
老後に向けて取り崩し可能な資産を蓄えておきたいですね。
では、現状の65歳以上のリタイヤ夫婦世帯はどのような生活を送っているのでしょうか。
本記事では、シニア世代の生活実態を解説し、現役時代からできる老後資金対策方法について紹介します。
1. 無職二人以上世帯(65歳以上)の平均貯蓄額・内訳を確認
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」を参考に、65歳以上・無職二人以上世帯における「平均貯蓄額の変動」や「資産の構成」を見ていきます。
2023年における65歳以上の無職二人以上世帯の平均貯蓄額は2504万円でした。
65歳以上では、定年退職後に貯蓄額が大きく増加した世帯や、公的年金では不足する部分を貯蓄で補填している世帯など、さまざまな家計状況が見受けられます。
次に、65歳以上・無職二人以上世帯の平均貯蓄額の推移を確認していきましょう。
1.1 「65歳以上・無職二人以上世帯」の平均貯蓄額の推移
- 2018年:2233万円
- 2019年:2218万円
- 2020年:2292万円
- 2021年:2342万円
- 2022年:2359万円
- 2023年:2504万円
2018年から2023年にかけて、無職の65歳以上世帯(二人以上)の平均貯蓄額は271万円増加しました。
この貯蓄額の増加には、少子高齢化や物価の上昇などの影響で、「年金だけでは老後生活が難しい」と感じる人が増えたことが一因として考えられます。
また、2020年以降のコロナ禍において、支出を抑える生活が続き、給付金が貯蓄に回されたことも、貯蓄額の増加に寄与した可能性があります。
次に、現在の65歳以上・無職二人以上世帯が保有している資産の詳細な内訳を見ていきましょう。