3. 最低賃金アップでパート主婦に影響?「年収の壁」問題
10月以降の最低賃金アップにより、収入が上がった人もいるでしょう。しかし、パート・アルバイトで働く人や中小企業にとっては、諸手をあげて喜べるとは言いにくい問題も…。
いわゆる「年収の壁」との兼ね合いを意識する必要があるためです。
扶養内でアルバイト・パートなどの就労形態となる場合、年収103万円(※1)、106万円(※2)、130万円(※3)など「月(年)での給与の上限額」があります。この上限額は「年収の壁」などと呼ばれますね。
この「壁」を超えて稼ぐと、自分自身や配偶者の税・社会保険料が上がり、世帯の手取り額が減ってしまう逆転現象が起こる可能性があります。そのため、シフトインを減らすなど「働き控え」をしなくてはならない人も出てくるのです。
そんな中、短時間労働者が「年収の壁」を意識せず働くことができる環境づくりを支援することを目的とした、「年収の壁・支援強化パッケージ」もスタートしています。
次で詳しく見ていきましょう。
- ※1「年収103万円の壁」を超えると所得税の支払いが発生
- ※2「年収106万円の壁」を超えると”一定の要件を満たす場合(次項で説明)”社会保険料の扶養対象外に
- ※3「年収130万円の壁」を超えると社会保険の扶養対象外に
3.1 10月からは社会保険の適用要件の拡大によって「106万円の壁」問題に
現在、年収が130万円を超えると配偶者の扶養を抜けて、社会保険に加入する必要が出てきます。ただし、勤め先の規模によっては、その基準が「130万円」ではなく「106万円」となるケースもあるのです。
いわゆる「106万円の壁」が適用されるのは、2022年9月までは従業員数501人以上の事業所でした。これが2022年10月以降は101人以上、さらにさらに2024年10月からは51人以上の事業所へ拡大されています。
上記に該当する勤め先の場合は、下記要件をすべて満たした際に、社会保険の加入対象者となります。
- 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
- 所定内賃金が月額8万8000円以上
- 2カ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
これまで「130万円の壁」だったところ、「106万円の壁」を意識する必要が出てくる人も増えるでしょう。さらに最低賃金の引き上げにより給与が上がった場合、稼働時間を減らすなどの調整が必要となる人も出てくるわけです。