5. 老後資金はしっかり目標を立てることから
老後の生活に不安があるなら、まずやらなきゃいけないのは「老後資金」の目標をしっかり決めることです。
これがないと、漠然とした不安だけが残ってしまいます。具体的に「65歳までに3000万円貯めたい」とか、「10年後にいくら必要だから、今から月々これくらい貯めよう」といった内容を決めていきましょう。
注意したいのは「何となくこのくらいでいいや」と適当に金額を決めてしまうこと。これだと、計画が曖昧になってしまいます。必ず、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、自分が将来受け取れる年金の額をチェックしてみてください。これで、老後の収入が大体見えてきます。
そして、次に大事なのが「老後の支出」をしっかり考えること。
たとえば、「老後は持ち家で暮らすつもりなのか、賃貸に住むつもりなのか」「老人ホームに入る予定はあるか」など、自分の理想の老後生活を思い描いてみましょう。これによって、どれくらいのお金がかかるのか、大体の予測がつきます。
収入と支出のバランスを確認した上で、最終的に必要な金額が明確になります。
(老後の想定収入 - 老後の想定支出) × 12ヵ月 × 25年~30年(老後を25年~30年と想定)
最近、物価が上がってきている影響で、毎月の生活にちょっとした我慢を強いられることも増えましたよね。
今後も物価が高止まりする可能性が高いの、で早めに老後資金を準備し始めることをおすすめします。
6. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
「年金って難しそう…」と感じている人は、多いのではないでしょうか。でも、基本のポイントを押さえると、意外とシンプルなのです。ここでは、年金についてよくある疑問について、わかりやすくお答えしていきます。
6.1 年金の仕組みってどうなってるの?
まず、日本の公的年金は「2階建て」構造です。下の階が「国民年金」、その上に「厚生年金」があるイメージです。
国民年金
国民年金は、20歳から60歳未満の全員が加入対象。特に自営業やフリーランスの方がメインです。
毎月決まった金額を支払います。いわば、年金の基礎部分です。
厚生年金
厚生年金は、会社員や公務員の方が加入対象です。こちらは収入に応じて保険料が変わるので、もらえる年金額も収入の影響が大きくなってきます。
そのため、個人差が出やすくなっています。
6.2 「繰下げ受給」って実際どうなの?
通常、年金は65歳からもらうものですが、「まだ働けるし、今すぐ必要じゃない」という方には「繰下げ受給」という選択肢があります。簡単に言うと、年金の受け取りを後回しにして、もらう額を増やす方法です。
たとえば、65歳で受け取る予定を75歳まで繰り下げると、年金額が84%も増えるんです。
もし健康で他にも収入源があるなら、繰下げ受給を検討してみる価値は十分にあるでしょう。
6.3 年金や老後資金をもっと増やすには?
繰下げ受給以外にも、年金や老後資金を増やす手段はいくつかあります。
国民年金の付加保険料を払う
自営業やフリーランスの方は、少し追加で保険料を払うことで、将来もらえる年金額をアップできます。
厚生年金に加入する
もし可能なら、厚生年金に加入するのも手です。もし国民年金だけに加入していた場合、会社員になったり、厚生年金が適用されるような働き方を選ぶと、年金額が増えます。
資産運用に挑戦
iDeCo(個人型確定拠出年金)や投資信託での資産運用も有効です。
ただし、これは場合によっては元本割れのリスクもあるので、まずはしっかり調べてからスタートするのが大事。お金の増やし方も「焦らずじっくり」がポイントです。
これで、年金の仕組みが少しクリアになったでしょうか?
ちょっとずつでも理解を深めていくと、老後への不安が少しずつ減っていきますよ。将来に向けて、一緒に準備を始めていきましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 厚生労働省・日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」
- 日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
鶴田 綾