11月30日は「年金の日」です。
厚生労働省は、平成26年度から毎年11月30日を「いいみらい」と語呂合わせして、「年金の日」と制定しています
この日は、自分の年金について少しだけ立ち止まって考えてほしい、そんなきっかけを提供する日です。
具体的には、「ねんきんネット」などのツールを使って、年金記録や受給見込額をチェックしたり、将来の生活設計をイメージしてみたりすることを呼びかけています。
年金は老後のお金の柱ですが、かつては「老後2000万円問題」といって、2019年に金融庁が出した報告書のデータが話題になりました。
最近では、急激な円安や物価上昇の影響で老後に不安を感じている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、老後資金に注目して、特に60代と70代の世帯を例に、「貯蓄3000万円の世帯」と「貯蓄ゼロの世帯」がどれくらい存在しているのかを見ていきましょう。
1. 【老後格差】60歳代「貯蓄3000万円」「貯蓄ゼロ」二極化進む
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」を参考に、60歳代の二人以上世帯の貯蓄データを見ていきます。
貯蓄の平均・中央値、さらには「貯蓄3000万円」と「貯蓄ゼロ」世帯の割合にも着目していきましょう。
【60歳代・二人以上世帯の「貯蓄額の平均と中央値」】
- 平均:2026万円
- 中央値:700万円
【60歳代・二人以上世帯の「貯蓄3000万円と貯蓄ゼロ」の割合】
- 貯蓄3000万円以上:20.5%
- 貯蓄ゼロ:21.0%
貯蓄額の平均は2000万円超を示していますが、中央値では700万円にとどまります。
60歳代の二人以上世帯においては、「貯蓄ゼロ」と「貯蓄3000万円以上」の割合が、それぞれ約20%前後でほぼ同程度となっており、貯蓄の二極化が顕著です。
さらに、老後の資金目標として話題に上がった「2000万円」を超える世帯は全体の約3割にとどまっています。
60歳代世帯の状況は多様で、既に年金生活に入った世帯もあれば、現役で働き続ける世帯、また定年後に再雇用や再就職をしてペースを落としつつ働く人もいるでしょう。
では、60歳代よりも、完全リタイヤ世帯が多く含まれていると考えられる70歳代の貯蓄事情はどうでしょうか。