はじめに

職場で仕事をする際に気をつけたいことのひとつとして言葉遣いがあげられます。自分では気をつけているつもりでも、実は間違った敬語を使っている、知らず知らずのうちに相手に対して失礼な言葉遣いをしているということもあります。

正しい言葉遣いをするだけで、好感度をあげることもできるでしょう。正しい言葉遣いをマスターしてみましょう。

目次

1. 仕事では、正しい言葉遣いをしないと怒られる?
2. 仕事の言葉遣いで失敗しないようにするポイント
3. 仕事をするうえで言葉遣いが悪いとどうなる?
4. 仕事では、上司や取引先に対する言葉遣いに注意!
5. 仕事のメールで注意すべき言葉遣い
6. 仕事の電話対応で気をつけたい言葉遣い
7. 仕事の後輩の言葉遣いを指摘する方法

1. 仕事では、正しい言葉遣いをしないと怒られる?

仕事では、言葉遣いを多少間違えたからといって怒られることはあまりないかもしれませんが、「言葉遣いには人柄やその人の性格が出る。」とされていますから、一般的には間違った言葉遣いをすれば印象が悪くなってしまうこともあります。ビジネスパーソンとしての常識として、言葉遣いはきちんとマスターしておきましょう。

以下、仕事で間違えやすい言葉遣いの例を挙げておきます。

「あなた」と呼ぶ

仕事で相手を「あなた」と呼ぶのは、ビジネス上タブーとされています。仕事を一緒にする人のことは、役職や名前で呼ぶようにしましょう。

上司に「ご苦労様でした。」という

仕事が終わって帰宅する上司に対して、部下が「ご苦労様でした」と声をかけるのもタブーです。というのも「ご苦労様」という言葉は、上司が部下に対して使う言葉だからです。上司など目上の人には「お疲れ様でした」という言葉を使うようにしましょう。

なお、上司や先輩に言葉遣いについて怒られるという時は、客観的にみてあまりにも目に余るというケースが多いものです。自分のために言ってくれているのだと感謝して、すぐに直すように心がけたほうがよいでしょう。「うるさい人」と揶揄して助言を無視することは、非常に勿体ないことだと思います。

2. 仕事の言葉遣いで失敗しないようにするポイント

仕事上で正しい言葉遣いをすることは、非常に大切です。間違った言葉遣いをして、相手が失礼だと感じるようなことがあった場合、社内での人間関係がこじれてしまう、取引先との商談に悪い影響を与えるなど、トラブルに発展してしまう可能性も無いとはいえません。

ではなぜ、間違った言葉遣いをしてしまう人が多いのでしょうか。実は、世の中には正しい言葉遣いがされていなければならない場所で、間違った敬語や丁寧語がつかわれていることが意外に多いからです。

例えばコンビニや飲食店での一場面を考えてみましょう。会計を済ませた後に、お店のスタッフがよく「レシートは大丈夫ですか。」とお客様に聞くことがあります。しかしこれは「安全」や「安心」を意味する「大丈夫」という言葉を間違って使っているのです。けれども、私たちは、このように当たり前に使われる間違った言葉遣いに慣れてしまっています。ついつい「大丈夫ですよ。」と返してしまう上に、日常生活においても、同じような言葉遣いをしてしまうのです。

また、「わざわざ」という言葉も丁寧なようでいて、一歩間違うと相手に対して失礼な言葉になることがあります。例えば、「わざわざ有難うございます。」という言い方であれば問題はありません。しかし、「わざわざお越しいただかなくても」という言い方をしてしまうと、「別に来なくてもよかったのに」と受け取られてしまうこともあるので、注意をしたほうがよいでしょう。

また、丁寧すぎる言葉も、逆に悪印象につながることがあります。例えば、「お越しになられました」というような二重敬語は、言葉遣いとして不適切です。これは、「お越しになる」という言葉がすでに敬語となっているので、「なられる」という敬語を足す必要はなく、「お越しになりました」とするのが正しいからです。しかし、丁寧に聞こえるぶんには問題ないだろうと思って使ってしまうと、相手によっては「正しい敬語も使えないやつだ。」と判断されてしまうかもしれません。

3. 仕事をするうえで言葉遣いが悪いとどうなる?

ビジネスシーンにおいて最も大切なことのひとつに「信用」があげられます。しかし、言葉遣いが悪いことで、この信用を損なうことがあります。

例えば、普段友人との間で使うような言葉を、職場の上司や先輩に使ったとしましょう。いわゆるタメ口です。印象が悪くなることはもちろん、「TPOをわきまえることができない」と判断され、お客様の前に出るような仕事をさせない、取引先との打ち合わせに同席させないなど、与えられる仕事が制限されてしまう結果につながってしまうかもしれないのです。

仕事の場においては、否定言葉を使わないように心がけることも大切です。ビジネスシーンでは、相手の意見に対して反対意見を述べなくてはいけない場面がたくさんでてきますが、ここで「でも」や「しかし」などの否定言葉を多用してしまうと、周囲から煙たがられてしまうことがあります。頑張ってアイデアを出したのに、「でも」「しかし」といわれてしまうと、誰しも気分は良くないものです。加えて、仕事の場でのあからさまな否定は、後々の人間関係にも大きな影響を及ぼすことが十分に考えられます。

普段の生活のなかでも、つい使ってしまいがちな否定言葉ですが、仕事の場では控え、「そうですね。」などと一旦相手の言葉を肯定してから、自分の意見を述べるようにしたほうがよいでしょう。明らかに相手が間違っている場合でも、否定言葉は使わず、やんわりとアドバイスとして伝える工夫をしてみましょう。

言葉遣いを改善するには、普段の生活から間違った日本語を使用しないように強く意識することが大切といえるでしょう。普段から正しい日本語を使うように心がけることで、仕事の場で間違った言葉遣いをしてしまうことを防ぐことが期待できます。ただ、急にすべての言葉を改まった言葉遣いに直すのは無理、というときは、ビジネスシーンではNGとされるタメ口や否定言葉を使わないようにするところから始めてみましょう。今までとは全く違った印象を与えることができるかもしれません。

4. 仕事では、上司や取引先に対する言葉遣いに注意!

ビジネスシーンにおいて特に注意したいのは、上司や取引先に対する言葉遣いです。敬語や丁寧語を話したつもりでいても、実は相手に対して失礼にあたる言葉遣いだった、ということが往々にしてあるからです。

例えば、相手から何かを依頼、指示されたときに「了解しました。」と返事をしている人は、案外多いのではないでしょうか。「しました。」という語尾にしたことで、一見丁寧語を使っているようにもみえますが、一般的に「了解」は、目上の人が目下の人に向かって許可をするときに用いる言葉とされています。ビジネスマナー的にはNGとはされていませんが、ここは広く推奨されている「承知しました。」を使うようにしたほうがよいでしょう。

また、取引先と連絡を取る際、相手の会社のことをよぶときに「そちらの会社」などという表現をしてしまってはいないでしょうか?ここは、相手の会社を立てる「御社」「貴社」などの言葉を使うのがビジネスマナーとされています。

言葉遣いは、相手をどう見ているかの物差しに使われることもあります。上司や先輩と仕事上で会話をするときに、親しみをこめたつもりで「マジですか」などタメ口に近い言葉を使うこともあるかもしれません。TPOや相手によっては「なめられている」と思われたり、言葉遣いから発展して「ビジネスマナーが分かっていない」などと思われて、最悪、社内人事におけるマイナス評価につながってしまうかもしれません。

ビジネスマンとして日が浅い新入社員などになると、とっさに正しい敬語が出てこない、どのような言い方が相手に対して失礼にならないのかの判断かつかないという場面もでてくるでしょう。そのようなときは、「この言葉を言われたら、自分ならどのように受け止めるだろう。相手はどう感じるだろう。」ということを意識しながら話すのもひとつの手です。たとえ、その時は適切な言葉がでてこなくても、「相手に対して失礼のないようにしたい。」という気持ちはある程度伝わりますし、あとで「あの時は、どのような言葉を使うのが正解だったのか。」と振り返ることで、その場にふさわしい適切な言葉遣いを身につけていくことが期待できるからです。

5. 仕事のメールで注意すべき言葉遣い

仕事のメールでは、敬語を多用するよりも、まずは読みやすい文章を心がけたほうが好印象を与えることができるようです。

例えば、相手にメールでお礼を言う時に「御礼申し上げます」と言う儀礼的な表現を使うよりも、「ありがとうございます」と率直に書いたほうが、相手も構えずにメールの文章を読むことができます。

ただ、メールは口から出た言葉と違い、文章として後々まで残ります。読みやすさ優先とはしつつも、最低限のビジネス文書のマナーはおさえた文章にしましょう。

具体的な例でいうと、メールの最後に「よろしくお願い致します」という文章を書き添える人は多いですが、ビジネス文書のマナーに従うならば、「よろしくお願いいたします」と、ひらがなで表記するのが正しいとされています。

また、冒頭に「お世話になっております」というフレーズを使うことがありますが、これは既に取引がある相手に対してのみ通用する言葉遣いとされています。まだ面識のない相手や、これから取引を始めようという相手には、「初めてメールを送らせていただきます」「突然のご連絡失礼いたします」のような出だしで書き始めるのが正しいマナーとされています。

6. 仕事の電話対応で気をつけたい言葉遣い

仕事の電話対応での大切なポイントとしては、自分が話している内容が相手にきちんと伝わっているかという点でしょう。電話の場合、相手は受話器から聞こえる声だけで、自分の印象を判断します。暗い印象を与えるボソボソとした話し方や、早口すぎて内容が聞き取れない、といったことは、多くの場合悪印象につながります。まずは、相手が聞き取りやすいように、はっきりとした発音で、適度なスピードで話すことを心がけましょう。その上で、ビジネスマナーにそって、失礼のない丁寧な言葉遣いで話すことが好印象となるようです。

では次に仕事における電話対応で、間違いやすい言葉遣いについて、いくつか考えてみましょう。

電話をかける時の決まり文句である「もしもし」ですが、仕事の電話ではNGとされています。取引先に電話をし、相手が出たら「お忙しいところ失礼します」「お世話になっております」といった形で話し始めるようにしましょう。

また、取引先との電話において、社内の人間に敬称を使うこともNGです。取引先との話題の中で、社内の人間についての話がでたときには、「弊社の〇〇が…」などと呼び捨てが正しいとされています。これは、たとえ先輩や上司、社長などでも同様です。なお、これは実際に会って会話をするときにも、適用されるルールです。

電話対応が苦手な人の克服策は、とにかく慣れることだといわれています。数をこなすことで、いろいろなシチュエーションに対する対応の仕方を身につけることが期待できるからです。慣れるにつれて、言葉遣いもその場に応じた適切なチョイスができるようになるということなのでしょう。なお、どうしてもとっさに適切な言葉が出てこないという時は、上司や先輩に様々なシチュエーションでの応答の仕方をあらかじめレクチャーしてもらっておくというのも、ひとつの方法です。

7. 仕事の後輩の言葉遣いを指摘する方法

入社したばかりの新入社員を指導するときなど、後輩の言葉遣いの間違いが気になる、という時もあるでしょう。仕事上のミスというわけではないので、注意がしにくいところもありますが、気が付かずに取引先の前で大失敗などということがあるかもしれません。今後のためにも、指摘はしてあげたほうがよいでしょう。

よくある間違いとしては「タメ口敬語」が挙げられます。語尾を丁寧にすれば敬語になると勘違いして、「マジですか」「ありえないですね」というような言葉を使う人がいますが、これは聞くほうからすればタメ口とほとんど変わりません。

「了解しました」「ご苦労様でした」などの「上から敬語」もNGです。これらの言葉は、本来は目上の人が目下の人に対してかける言葉とされています。「承知しました」「お疲れ様でした」が正しい言いかたとなります。

後輩の言葉遣いの間違いを指摘するときは、頭ごなしに怒る、皆の前で批判するということは、できるだけしないようにしたほうがよいでしょう。というのも、多くの場合、わざとやっているのではなく、単純に間違った敬語を覚えて使ってしまった、というだけだからです。失敗をした後すぐに、他の人にはわからないように耳打ちする、などの方法で訂正し、「次からは気をつけてほしい。」ということを伝えてあげるのがよいのではないでしょうか。

おわりに

仕事においては、いくら性格がよく、親しみやすい人であっても、正しい言葉遣いができない人は、それだけでビジネスパーソンとしての評価が下がります。ただ、正しい言葉遣いはすぐに身につくものではありません。ビジネスマナーを勉強する、先輩や上司を参考にするなどして、仕事上のやりとりに慣れることから始めましょう。正しい言葉遣いを意識して話すという積み重ねをすることが、自然とその場に応じた言葉遣いへとつながります。

LIMO編集部