はじめに
社会に出て仕事をしていると会社を辞めたいと考えることもあります。そこですぐに辞めてしまうのではなく、一度立ち止まってなぜ辞めたいのか、その理由をしっかりと考えてみましょう。理由によっては、自分の行動を変える、周囲への対応を求める、といったことをするだけで、状況が改善されることがあります。
以下、代表的なパターン別に解決策を考えてみましょう。
目次
1. 人間関係の問題で仕事を辞めたい場合
2. 待遇や評価などの問題で仕事を辞めたい場合
3. 結婚や介護などのプライベートな理由で仕事を辞めたい場合
4. 病気などが原因で仕事を辞めたい場合
5. やる気やモチベーションが低下して仕事を辞めたい場合
6. 自分の将来の目標のために仕事を辞めたい場合
7. 仕事を辞めたいと考えて転職するときの注意事項
1. 人間関係の問題で仕事を辞めたい場合
人間関係の問題は、退職や転職理由の中でも比較的大きな割合を占めています。
上司と上手くいかない
上司との付き合いが上手くいかないというのは代表的なケースです。
具体的には、「ほかのメンバーに比べ、自分にだけ特に厳しいような気がする。」「自分のキャパシティを超えた仕事を指示されることが多く、断ることができずに辛い。」「自分が行った仕事なのに、いつの間にか上司の手柄になっていた。」というようなことがあげられます。
職場の雰囲気
職場全体で悪口が横行しているような場合、全体の雰囲気が悪くなります。また、職場内で話が合わない人が多いと、居づらいと感じることがあるかもしれません。
解決策
職場の人間関係が原因で辞めたいというときは、思い切って上司に掛け合ってみるのも手かもしれません。
上記の例であれば、「自分だけに厳しい。」「自分にばかり仕事を振ろうとする。」のは、上司が意地悪をしているのではなく、上司が他のメンバーよりもあなたの能力を認めているからこそ行っている行動である可能性もあります。また「自分の仕事が上司の手柄になった。」というのは、あなたの勘違いで、会社は一番の功労者はあなただとわかった上で、チームの代表として上司に賞賛を送ったのかもしれません。
こういう場合は、上司ときちんと話をし、お互いの誤解を解くことで状況が改善する可能性があります。
また悪口が横行していて職場の雰囲気が悪い場合は、上司に協力をお願いして、当事者同士で話し合う機会を作ることで解決に至ることがあります。ただ、この場合、言い争いや悪口合戦にならないよう、慎重に話を進めてもらうようにしましょう。
職場内で話が合わず居づらいという時も、上司に素直な気持ちを話すことで、クッション役になってもらうことができるかもしれません。
なお、直属の上司に言いにくいという場合は他の部署の上司に相談をすれば何かしら救いの手を差し伸べてくれる可能性もあります。
こちらから少し歩み寄るだけで上司と上手くいくようになった、実は話の合う人がいたといった解決の糸口がつかめることがあります。辞めてしまう前に、努力をしてみるのもよいのではないでしょうか。
2. 待遇や評価などの問題で仕事を辞めたい場合
待遇や評価、労働環境に不満をもっているというパターンもあります。
評価に不満がある
毎日たくさんの仕事をこなしていて成果も上げているのに、昇給や昇進につながらないなど、正当な評価をしてもらえないと感じることがストレスになって、辞めたいと考えるケースがあります。
労働条件が悪い
残業が多い、休日出勤を余儀なくされているなど、長時間労働を強いられた結果、辞めたいと考えるケースがあります。また、立ち仕事や重労働が多い職場では、人によっては、体力的に辛くて辞めたいと感じているケースもあるようです。
仕事が合わない
新しい仕事を始めてみたら自分に合っていなかった場合や、別の部署に異動させられた結果、やりたくない仕事をやることになってしまい、辞めたいと感じるようになったというケースもよくあります。
解決策
評価や待遇に不満がある場合、可能であれば、しかるべき部署に条件交渉をしてみると良いでしょう。自分の仕事ぶりの割には給料が安いのではないかと単刀直入に訴えかけてみると応じてくれることもあります。
また不当なほどに残業が多い場合も、しかるべき部署に改善を求めてみるのも良い方法です。労働環境は現場しかその実態をよく理解できていない場合もあるので、状況を視察して人員を増やすなどの対応を取ってくれることもあります。
また人材評価は正当に行われているのに、給料や仕事の内容に満足がいかない場合は、キャリアアップを目指すのも合理的な方法です。多くの場合、平社員から管理職に昇格すると仕事の様相も大きく変わり、給料の水準も高くなります。これが満足のいく結果につながるかもしれません。
なお、労働条件が悪い、仕事が合わないというときは、まずは上司に、配置換えも含めて検討してもらうことができないかを相談してみることをおすすめします。
3. 結婚や介護などのプライベートな理由で仕事を辞めたい場合
プライベートな理由があって仕事を辞めたいというパターンです。
結婚をしたとき
結婚して夫婦一緒に住むようになると、どちらか一方の職場が遠くなり、通勤が困難になってしまうケースがあります。また、結婚相手の仕事の状況によっては、どちらかに家事の負担が集中し、思うように仕事ができなくなったというケースもよくあるようです。
子供が産まれたとき
妊娠・出産となると、女性は出産の前後の一定期間は仕事を休まなくてはいけません。また、子供が産まれた後も、預け先がなければ仕事に復帰することができません。運よく保育園等に預けることができても、夫婦どちらかが、送迎のために時短勤務を余儀なくされる、子供が病気の時は仕事を休まなくてはならないなど、以前ほど仕事ができなくなったというケースも多くみられます。
介護が必要な家族がいるとき
家に介護が必要な家族がいると、日常生活の世話や通院の付き添いなどで、仕事を早く切り上げる、休むといったことが増えます。このようなケースでも、仕事をする時間が限られるということが起こります。
解決策
結婚・出産や介護といった事情で、以前のペースで仕事をするのが難しくなったときは、まず、使える社内制度がないかを確認してみましょう。例えば、妊娠や出産が理由であれば、産休や育休の制度があると復職できる可能性があります。また、会社に提携保育園などがあれば子供を預けやすくなります。
一方、介護が必要な家族がいる場合は、介護休暇を取得できる場合もあります。なお、もしもしそういった制度がない場合でも、時短勤務制度があるなら、適用してもらえるように上司に相談してみるのもよいのではないでしょうか。
在宅勤務にできる可能性も?
余談ですが、オフィスへの通勤が難しい人が働きやすいよう、在宅勤務制度を取り入れようとする企業が増えてきています。育児や介護で通勤が難しい人は、在宅勤務に変更してもらうことで、プライベートと仕事を両立しやすくなります。
なお在宅勤務は、過去に事例がないとなかなか承諾してもらえない傾向がありますが、上層部が前向きに在宅勤務の導入を考えているということであれば、提案を持ち掛けることで検討してもらえる可能性もあります。
4. 病気などが原因で仕事を辞めたい場合
突然の体調不良や病気になって辞めたいと考えるパターンもあります。
病気になってしまった
人は誰でも、突然病気になってしまう可能性があります。軽い風邪程度であればよくあることかもしれませんが、仕事に支障が出る程の病気になってしまうこともあります。
大怪我をしてしまった
交通事故などが原因で、通勤や仕事がままならない程の怪我をしてしまう可能性もあります。
過労や老化が原因で身体がついていかない
過労や老化の影響で、今までと同じように仕事をすることが難しくなる場合があります。
解決策
病気や怪我、過労で体調を崩してしまった場合は、休職願を出してみるのもひとつの方法です。一定の休職期間を経て、心身ともに元気になって職場に戻ることで、辞めたいという気持ちが薄れる可能性があります。
ただし、働き過ぎで体調を崩したという場合や、病気や事故の後遺症がある場合、以前と同じように仕事をすることが難しいことも考えられます。その場合は、時短勤務やフレックス勤務など、自分にとって働きやすいリズムで仕事に従事できるかを会社に確認してみることをおすすめします。
5. やる気やモチベーションが低下して仕事を辞めたい場合
仕事に対してやる気が出ないから辞めたいというパターンもあります。
モチベーションがあがらない
仕事に対するモチベーションがあがらず、会社にも行きたくない状態になるケースがあります
何事に対してもやる気がなくなり、ふさぎ込んでしまう
仕事以外のことに関しても気分がのらずに、ふさぎ込んでしまうというケースがあります。
解決策
やる気やモチベーションが低下しているときに、あまり無理をするのはよくありません。もともとやりたい仕事だったはずなのにモチベーションがあがらない、という場合は心が疲れてしまっている可能性があるからです。
仕事や職場での人間関係にストレスを感じている場合は、いったん仕事を休んで、心身の疲れをとってから復職をすることで、新たな気持ちで仕事に臨むことができるかもしれません。まとめて有給休暇をとれるか、休職という手がとれるかという点について、上司に相談をしてみましょう。
また、仕事に関することだけでなく、何事に対してもやる気が出ない場合はあまりに多くのストレスを抱えてきた影響でうつになってしまっている可能性もあります。
この場合にはまずは心療内科に行ってカウンセリングを受けることをおすすめします。なお、企業によっては、相談できる医師を紹介してくれる場合もあります。
6. 自分の将来の目標のために仕事を辞めたい場合
自分の将来の目標を達成するために辞めたいというパターンもあります。
キャリアアップ・スキルアップのため
自分が今まで培ってきたスキルをさらに活かすことができる職場を探す、自分が興味を持っている仕事に従事するために、今の仕事を辞めたいというケースがあります。
留学・学習のため
仕事を通してだけではなく、留学や専門の学校で勉強をすることで、スキルアップを目指したいというケースもあります。
勤める会社の規模を変えたいため
勤務する会社の規模を変えることで、スキルアップをしたいというケースです。
単純に今より規模の大きい企業に入社することで、安定した雇用条件の下で働きたいという人もいますが、逆に大手企業で学んできたノウハウを活かして、中小企業で活躍したいと考える人もいます。というのも、大手企業と比べて中小企業では昇進が早く、責任のある仕事を若手社員のうちから経験できる傾向があるからです。このように、仕事のやりがいを求めて大企業から中小企業へ転職をするというケースもあります。
起業をするため
これまで培ってきた技術や知識を生かして、独立して起業したいというケースもあります。
このパターンの場合、休職が可能な「留学・学習のため」以外は「転職」が一番の解決策となります。ただ、この場合は、自分を成長させる意欲を持っての転職となりますので、退職する前に本当にこの会社でやり残したことがないのかをよく考える必要はありますが、その上で納得して、ということであれば問題はないでしょう。今働いている職場では十分に学べることは学び終わったから、次のステップに進むために、という前向きな気持ちで仕事を辞めるのですから、むしろ好ましいことといえます。
転職先を探すときは、これからの具体的なキャリアパスをよく考えて、自分に合った会社を探すようにしましょう。また、転職ではなく独立をするという場合は、資金的な問題がないかを、事前によく確認しておくことをおすすめします。
7. 仕事を辞めたいと考えて転職するときの注意事項
本格的に仕事を辞めて転職しようと決めたときの注意事項があります。
転職と退職のタイミング
退職と転職活動のどちらを先にするかはよく考えなければなりません。
仕事を辞めてから転職した場合、転職活動をする時間がたっぷりとあるため、余裕をもって面接等に臨むことができます。しかし、なかなか転職先が見つからないという状況になってしまうと、生活費が不足するという事態に陥る可能性があります。
一方で在職中に転職活動をすれば、毎月の給与がありますから、生活費には困ることはありません。しかし仕事をしながら転職活動をするとなると、活動する時間が限られます。場合によっては、面接に行く時間を捻出することすら難しい、ということも考えられます。
これらの違いを理解した上でどちらが良いかを選びましょう。
辞めた理由をしっかり把握して転職先を選ぼう
転職活動は、辞めたい理由をきちんと認識したうえで行い、それがきちんと解消されるような転職先を選びましょう。安易に次の転職先を選んだがために、同じような悩みを持って再度転職する人もいます。また、よくリサーチをしなかったために、「給料が低いことが原因で転職をしたのに、給料が増えた分残業も多くなって辛くなった」など、別の悩みを抱えてしまうといったこともあります。
人間関係で悩んで転職をした場合、新しい職場の人間関係について入社前にリサーチをすることは難しいかもしれません。しかし、周りの人間に歩み寄るようにする、できるだけやさしく接するなど、相手に不快な思いをさせない態度を心掛けることで、余計な衝突を避けることはできるかもしれません。
おわりに
仕事を辞めたいと考えたら、すぐに会社に対して退職の意思を示すのではなく、一度立ち止まって、まだ出来ることはないか、やり残したことがないか、自問自答してみましょう。そして、まだできることがあるのであれば、まずは状況の改善に向けて努力をすることをおすすめします。転職活動は、できる限りの取り組みをした上で、やはり転職をした方が良いという結論に達してからでもよいのではないでしょうか。
なお、最終的に転職を選ぶことになっても、それは人生にとって、決してマイナスなことではありません。大切なのは、それが自分にとってベストな選択であるかどうかです。会社を辞めてから後悔することがないよう、自分自身の「辞めたい」という気持ちとしっかりと向きあい、よりよい解決策をみつけてくださいね。
LIMO編集部