3. 安定した生活には支出の最適化が欠かせない
高齢者になると、フルタイムで働きたくても働けないというケースが考えられます。
働ける気力と体力があっても、希望している求人が出ているとも限りません。
実際に、厚生労働省の資料によると、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のなかで「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は41.7%でした。
収入を年金に依存している高齢者が収入を増やすことは現実的ではないため、支出を減らして生活の安定を図る重要性が高いといえるでしょう。
例えば、一般的に高齢になると保険の必要性が低くなります。
公的保険と貯蓄で医療費や介護費の備えができている場合、医療保険や介護保険は不要でしょう。
また、固定電話を解約したりスマートフォンのキャリアを格安SIMに変えたりすることで、通信費を抑えられます。このように、保険料や通信費をはじめとした固定費を見直せば、節約効果が持続します。
生活が苦しいと感じている世帯ほど、支出を見直す必要性は高いでしょう。固定費だけでなく変動費も見直して、健全な家計運営に努めてみてください。
4. まとめにかえて
高齢者世帯の約6割が生活に苦しさを感じている背景として、物価高が挙げられます。
高齢者世帯は就労によって収入を得ることが難しくなるだけでなく、物価上昇率に応じて年金額が改定されるのは翌年とタイムラグがあるためです。
収入や所得が一定額以下の方に対しては、年金生活者支援給付金が支給されます。
年金生活者支援給付金は申請しないと受給できないため、要件に該当する方は忘れずに申請を行いましょう。
参考資料
- 厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和6年度の年金額および年金生活者支援給付金支給金額の改定について」
柴田 充輝