リーマンショックの直後に中央区茅場町の中古マンションを購入、2018年の5月末に売却を行なったというサラリーマンに、「これからの時代、不動産をどのように運用すれば良いのか?」というテーマでインタビューを行いました。

不動産投資を検討中のサラリーマンの方は、ぜひ参考にしてみてください。

1. 物件購入時からキャピタルゲインを得るまでの経緯を教えてください。

私はリーマンショック後の平成21年(2009年)の1月に、リノベーション済みの中古マンション(1LDK、約45㎡)を1,850万円で購入しました。

5年ほどは自身で居住していましたが、その後は賃貸に出し、しばらくはインカムゲイン(賃料相当額)を収入として得ていました。そして、賃借人が退去した2017年の11月のタイミングでリフォームをした上で売り出し、最終的には2018年5月末に2,300万円で売却しました。

2. もともと、不動産投資には関心があったのですか?

中学生の頃に両親が自宅をローンで購入していたと知ったのですが、その際に「ローンで買った物件を人に貸すと、賃借人が家賃という名目で、毎月のローンの支払を肩代わりしてくれる」という仕組みを自身で発見(?)して、感動した記憶があります。当時は無意識でしたが、もともと不動産投資に関心があったということでしょう。

3. なぜ茅場町のマンションを購入されたのですか?

購入のきっかけは、仕事が忙しく、長距離通勤が難しくなって実家を出ることを決めたことです。最初は賃貸を探しました。でも、賃料と中古マンション購入後のローンの支払い金額を比較した際、リーマンショック後ということもあって、中古マンションのほうが非常に割安だったのです。それで迷わず中古マンション購入を決定しました。その時は物件価格が下がることは前提で、支払家賃分価値が下落しても「まあ、いいかな」という感じでした。

ただ購入に関しては、東京駅から歩けるエリアを条件としていました。理由は、東京駅とその近辺の開発は随分前から決まって(始まって)おり、東京駅近辺なら、物件購入価格さえ間違えなければ、不動産投資で「負ける」確率は他の地域に比べて著しく低いと考えたからです。

4. なぜ2017年のタイミングで売却されたのでしょうか?

大きく2つの理由がありました。

1つ目としては、最終的に「自分で住むこと」を選択肢に入れていたのですが、引越しを繰り返す中で、このマンションに住むことが難しいと感じるようになったことです。手持ちの家具、ライフスタイルを含め、45㎡という床面積では厳しいと判断しました。

2つ目は、耐震問題に対する意識の高まりです。当該物件は旧耐震物件だったのですが、トレンドのせいもあり、マーケットが著しく絞られてしまった感は否めませんでした。物件としてその資産性に大きな課題が出てしまったことも要因です。

5. 今後の日本のマンション市況について、どのようにお考えですか(特にオリンピック後)? また、今後の不動産投資で負けないためにはどんな姿勢が重要でしょうか。

都心部にマンションの供給が潤沢に行われていることを考えると、市場原理に則り、少なくともマンションの「勝ち負け」はより明確になると思います。ただし、「マーケットに対して魅力があるマンションは下がりにくい」という原理原則は揺るがないものだと思っています。

そんな中で、「負けない」ためには、自分の頭で考え、物件についてよりシビアに、合理的に物件の資産価値を分析する必要があると思います。

マンション購入を「投資」として考える際は、以前に比べて今が高い安い、という単純な比較だけでなく、賃料(適正価格に対して、借りた方が得か、買った方が得かの比較)、管理状況、エリア特性、対象マーケットの動き、自身が取りうるリスクまでを丁寧に判断して、購入すべきでしょう。そうすれば「負ける」確率は著しく低くなりますよね。

また、出口戦略として、「自分の取りうるリスクを冷静に判断した結果、保有し続けることが望ましくない」ケースでは思い切って処分することを常に意識するべきだと考えます。

マンションジャーナル