4. ねんきん定期便で見落としがちなポイント
ねんきん定期便でついつい見落としてしまうポイントは、以下の2つが挙げられます。
- 年金の見込額や受給資格期間の数字の勘違い
- 公的年金にかかる税金や社会保険料
ねんきん定期便には、これまでの加入実績に応じた年金額や老齢年金の見込額が記載されます。この記載額はすべて「年額」です。月額だと勘違いしてしまうと、1ヶ月で相当な金額を受け取ることになってしまいます。
月あたりどれくらいの年金がもらえるのか知りたい場合は、必ず記載されている見込額の数字を12で割るようにしましょう。
また、受給資格期間についても、数字を勘違いしないよう気をつけましょう。老齢年金を受け取るには、受給資格期間が最低でも「120月」必要です。100月や200月ではないことに注意してください。
加えて、年金にかかる税金についても考慮するようにしましょう。ねんきん定期便に記載されている年金額はあくまで額面のものであり、実際の手取り額は異なる場合があります。
年金からは、以下のような税金や社会保険料が天引きされる場合があります。
〈所得税〉
- 65歳未満:年間の年金受給額が108万超
- 65歳以上:年間の年金受給額が158万超
〈住民税〉
- 以下の条件をすべて満たす場合
・65歳以上
・老齢もしくは退職を理由に年金を受給
・年間の年金受給額が18万円以上
〈国民健康保険料〉
- 以下の条件をすべて満たす場合
・後期高齢者医療制度の該当者を除く65歳以上75歳未満
・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給
・年間の年金受給額が18万円以上
〈後期高齢者医療保険料〉
- 以下の条件をすべて満たす場合
・75歳以上か後期高齢者医療制度の該当者
・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給
・年間の年金受給額が18万円以上
〈介護保険料〉
- 以下の条件をすべて満たす場合
・65歳以上
・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給
・年間の年金受給額が18万円以上
※国民健康保険料および後期高齢者医療保険料は、介護保険料との合計額が特別徴収対象年金額の2分の1を超える場合は、天引きされない。
実際に受け取れる金額は「ねんきん定期便に記載の金額からいくらか減る」と想定しておくとよいでしょう。
5. まとめにかえて
ねんきん定期便は、自分の年金の状況がわかる大切な書類です。年金額によって、老後のライフプランは大きく変わってきます。
現在、ねんきん定期便は「ねんきんネット」に登録することでWeb書面でも見られるようになっています。年金情報が気になるときにいつでもアクセスできるようにしたい人は、ぜひねんきんネットに登録しておきましょう。
年1回のハガキや封書で年金のことをきちんと理解したい人は、日本年金機構からの郵便を大切に保管し、これからのライフプラン形成に役立ててください。
■参考資料
- 日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
- 日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和6年度送付分)」
- 日本年金機構「必要な資格期間が25年から10年に短縮されました」
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 国税庁「高齢者と税(年金と税)」
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
石上 ユウキ